〜さとっちゃん視点〜
プルルルル…プルルルル…
あなたの下の名前ちゃんからだ。珍しい。
そう言いながらスピーカーボタンを押す。
プツッ…ツー…ツー…
あなたの下の名前ちゃん…明らかにおかしかった。どうしたんだろう。
楢ちゃんが車を発進させた。皆押し黙っている。
あの電話…何か気になる…。なんだ…?
あの雑音、電車の音だ。ここらへんを通ってる。
〜5分後〜
駆け出す。エレベーターが降りて来ないので階段を使った。
こんなに汗をかいたのはいつぶりだろうと場にそぐわない事を考えた。
まだ駄目だよ…!
〜楢崎組〜
ガチャッ
ダダダッ
違ったらもうアテがない事は皆が知っていて、しかし誰も言い出さなかった。
3人は部屋を飛び出し屋上へ続く階段を登りさとっちゃんを追いかけた。
〜さとっちゃん〜
ドア…屋上のドアだ
ガチャリッ
あなたの下の名前ちゃんはフェンスの所で立っていた。振り返り目を見開いた。
その目は真っ黒で、何も映っていないようだった。
✄-------------- キ リ ト リ --------------✄
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!