皆で歩く。
しばらくすると、川が見えてくる。
空は1面オレンジで、夕日を川が反射し、キラキラしている。
そう言いながら、さとっちゃんは土手を駆け下りる。
私も駆け下りた。
さとっちゃんは平面になっている所に座った。
隣に座る。
少し先には緩やかに流れる川がある。
しばらく無言になる。
じりじりと住宅街に溶けていく夕日を眺めていると、凄く幸せな気分になる。
隣を見ると、さとっちゃんは前を向いたままで、顔は夕日に照らされ、ほんのり赤い。
え?今なんて
そこでさとっちゃんはこっちを向いた。
その顔はいつも通りニコニコしていた。
だけど眉毛が少し下がっている。
何も言えずにさとっちゃんの顔を見る。
さとっちゃんはまた話す。
その声で現実に戻される。
さとっちゃんの笑顔は崩れ、目から涙が1粒落ちる。
え、さとっちゃんが私を好きなの?
嘘嘘嘘…
え、両想いだったの?
え、嘘
ちょっと待ってどういう事?
今告られた??
さとっちゃんは目を大きく見開く。
慌てふためくさとっちゃんを見ながら、私は少し落ち着く。
あぁそういう事か。
目から涙が溢れる。
そう言うさとっちゃんの目にも涙が浮かぶ。
私は泣きながら笑う。
さとっちゃんも泣きながら笑う。
しばらくして、落ち着く。
そうだ、さとっちゃんから告ってもらったし…
さとっちゃんは顔を真っ赤にする。
そしてそっぽを向いてしまう。
さとっちゃんは耳まで真っ赤になっていて、
こっちも恥ずかしくなり、そっぽを向く。
なんでちゃんが消えるだけでこんなドキッとするんだろ、と思いながらさとっちゃんの方を向く。
唇に温かいものが触れ、離れる。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
私もお返しにとさとっちゃんのほっぺにキスをする。
ニヤニヤしていたさとっちゃんも、目をぱちくりとさせ、顔が赤くなる。
三人は走って帰ってしまいました。(作者)
もう夕日は欠片を見つける事も出来なくなっていて、薄暗い。
土手を上がり、二人で歩く。
家につくと、皆いて、
と言われた。
まさかさとっちゃんと付き合えるとは思ってもいなかった。
これからもっと楽しい事とかを積み重ねていきたいな
さとっちゃん達と一緒に。
✄-------------- キ リ ト リ --------------✄
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!