少し微笑んでそう言った彼女に。
何度目かもわからない一目惚れをした。
大人しめな見た目とは裏腹に、
よく笑いかけてくれる彼女が好きだった。
【玲華さんハ亡クナリ二ナラレマシタ_】
…僕は…僕はただ…
りとは少しずつ、
《あの人》に会う前に戻ろうとしていた。
でも、それは無理だと悟った。
俺としては、嬉しかった。
もちろん、あの人の事は信頼してたし、
りとにお似合いだと思った。
…だけど、
乾いた笑いを聞いて、その場を後にした。
りとは《玲華》が死んでからずっと
この調子だ。なにも変わらない。
…俺は《人外》を恨んでいる。
いっそのこと居なくなればいい。
あいつらが居なければ…そう願って居た。
《ありえない》
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。