第2話

依存
340
2018/07/15 08:07
れおは僕が家から出なくなってから、
電話で話しかけて来るようになった。
嬉しかった。
でも、僕が喜んじゃダメなんだ。
玲華さんは居なくなった。
自殺だ。
僕と出かけた次の日、
ビルの屋上で…
りと
はぁ…何してんだろ。僕。
こんなことしてても始まらない。
溜まって居た家事を始める。
ほとんどなにも食べていなかったので
洗い物は特になくて楽だった。
風呂だけはいつも入って居たので、
手入れは行き届いている…はず。
…今日初めてまともに鏡を見て気付いた。
《髪が伸びている》という事。
髪をどう切るか考え始めて数時間。
結局放置することにした。
この家は、
引きこもるには十分すぎる
広さで少し寂しく感じることもある。
もう随分見て居なかったネットニュースを見ていた
玲華さんの自殺で世間は騒ぎわめいていた。
【珍しい怪物の自殺】と。
見計らったかのように黒染めは人外駆除を、始めた
誰も反対はしなかった。
人外は怯えるしかない。
僕のもとへ届く通知に苛立ちを覚えた。
りと
『いつまで抜け殻に住む気だ』…か。
父はこの家を…僕と母の家を『抜け殻』と
思い出を踏みにじる。
前に玲華さんの話をした時も
『そんなやつ。さっさと捨てろ』と
散々罵って来た。
僕は意地でも父の言う通りにしないつもりだ。
それが母への恩返しだと思うから。
あいつなんかに頼らなくても生きていける。
そんな事思っていても、
やはり失くしたものは僕を
追い詰めるには十分すぎたようで。
りと
…玲華…さん…
横になり、写真を見ながら一人泣くだけ。
僕はどれほど玲華さんに依存してしまっていたのか、
よくわかる自分が憎たらしい。
人外は今日も
怯えるしかできない。

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