遠い昔、歌姫と呼ばれる存在が現れた。その歌を聞けばどんな傷だって、どんな怪我だってすぐに治ってしまう。世界から争いは消え、いつしか平和な世の中になっていった。しかし、そんな幸せ続かない。一人の王がその強大過ぎる歌姫の力を求めたのだ。歌姫は故郷の家族のもとから連れ去られ、王ただ一人の為だけに歌わなければいけなくなった。みるみるうちに歌姫は衰弱していき、いつしか王を呪いながら死んでしまった。それと同時に歌姫を連れ去った王は謎の伝染病にかかり死んだ。それを引き金として、伝染病が蔓延したが歌姫がいないため、治ることはない。いつしかその病気は『歌姫の呪い』と呼ばれるようになり、いきなり現れては人を苦しめ、いつの間にかなくなる。それの繰り返しだった。
数千年後、そんな状況を見かねて歌の神である「リアンディール」がお告げを出した。
『歌姫の呪いを止めたければ、歌姫の呪いを相殺する歌の力を持つものを、西にある神殿で歌わせなければならん。さもなければお主らの世界に平穏は訪れないであろう。』
これを聞いたある国の王は必死に探し、城下町のある家にその力を持つ少女を見つけた。彼女は双子で、双子の兄と共に暮らしていたが王は彼女をさらい、歌わせることにした……この物語は歌姫としてたった一人、祈りの場所で生きながら、双子の兄との再会を目指す一人の少女の話。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。