中学に上がる時にふとママが提案した事だった
私は小さい時から目が良かった為
コンタクトに関してすごく怖かった
でも、今はそんな事を言っていられない
もしこの新しいスタートで失敗したら今度こそ
自分の居場所がなくなってしまう
そんな思いでいっぱいだった
簡単には言ったものの
コンタクトはなかなか入らない
何度か試した後ようやくコツを掴んだ
そうやって励ましてくれた
生きるのを諦めたはずなのにまだ頑張ろうと
思えるのはきっとママがいてくれるから
でももし、ママが居なくなっちゃったら
私はどうなっちゃうんだろう…?
怖い … 私は本当のひとりぼっち…?
やめよう
こんな縁起でもない事考えちゃダメだ
嫌なことには蓋をしなきゃ
そう…
偽らなきゃ
それから中学校の生活が始まった
毎日カラーコンタクトもして偽り続けた
“自分”を見せちゃいけない
“自分”を知られちゃいけない
それなのに…
私…なにもしてないよ…?
どこで間違えちゃったの…?
なにがまずかったのかな…
怖い…また嫌われるの…?
またいじめられるの…?
この噂が広がってからというもの
またいじめが始まったのは言うまでもなかった
そして一番恐れていた事が現実になってしまった…
ダメ…気持ちを沈めなきゃ…隠さなきゃ…
抑えないと…取り返しのつかないことになる
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私は堪えきれずに“能力”を発動させてしまった
その力は5人程いた相手全員に当たったようだった
その日私には沢山の痣ができた
それから
生きることに対しての気力の全ても失くしてしまった
もう私には何も残っていなかった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。