第2話

普通の事が難しくて。 江口拓也
341
2020/09/30 11:55
週5日、多ければ週6日。




寝て、起きて、準備して、電車に揺られて、学校へ行って、授業を受けて、部活をして、また電車に揺られて……




何回も何回も同じことの繰り返し。




弱音を吐きたくてもみんな同じことをしているし、それが当たり前で普通のこと。




出来ないと『あの子どうしたの?』という視線が向けられる。





あなた

(…疲れたな)










この先、進学して、就職して、結婚して…






まだ十何年しか生きてないのに…






疲れちゃったなぁ…






ヴーヴー
あなた

……?

あなた

えぐだ






ブルーな気持ちのまま通話ボタンを押す





えぐ
えぐ
あなた?
あなた

どうしたの?

えぐ
えぐ
んや、今仕事終わったんだけど
えぐ
えぐ
会いに行こーかなーって
あなた

そうなんだ

あなた

お仕事お疲れ様(*´∀`)

えぐ
えぐ
ありがと



いつもならえぐの声を聞けるだけで体温が上がるのに、今日は違う。






えぐは偉いな…





私なんてまだ学生なのにもう疲れちゃってる。





えぐの方が大変な世界にいて、私よりずっとずっと多くのことを経験してきてるのに。














私…だめだなぁ…








えぐ
えぐ
…?おーいっ
あなた

あっ、ごめん!

あなた

なんだっけ!

えぐ
えぐ
…あなたなんかあった?
あなた

え、、、

あなた

別になんにもないよ

えぐ
えぐ
うそつき。
えぐ
えぐ
俺には分かるよ
えぐ
えぐ
あと10分くらいで着くから。
あなた

…うん






お見通しかぁ…






さすがだねえぐ。





でも、私が今悩んでることってめちゃくちゃレベルが低いことな気がして、誰にも相談できなかった。






親にだって、友達にだって、、、





ずっと涙堪えてたのに…っ





だめだめだめ




あなた

(泣いたら崩れちゃう…泣いちゃダメっ…)







えぐといつも待ち合わせしている公園に行く。






もう、あたりは暗くて、人通りもほとんど無い。





閑散としてて、なんか、もうそんなことにも涙が出そうで。





あなた

(あーー、もうだめかも)

あなた

……っ




少し冷たくなった頬に生温い涙がつたう。





あなた

(だめだなぁ…私)

















急にふわっと知っている匂いに包まれる。





あなた

……えぐ?

えぐ
えぐ
ごめん。間に合わなかった
あなた

…え…ぐっ…



久しぶりのえぐの体温にぎゅーっと抱きつく。





えぐ
えぐ
辛かったな。よく頑張った。






そう言ってえぐは私の背中を優しく撫でたり






とんとんしたりしてずっと寄り添ってくれた。





あなた

…もう、大丈夫。

えぐ
えぐ
うん。
えぐ
えぐ
なにかあった?
あなた

……

えぐ
えぐ
言いづらい?
あなた

……

えぐ
えぐ
あなた
あなた

きっとえぐ呆れると思うから…

えぐ
えぐ
そんな事ない
えぐ
えぐ
絶対に。
あなた

…あのね


















呆れられちゃうよな…
















あなた

毎日毎日同じことをしているのが辛くなった…の

あなた

でも、それをすることは普通のことで、みんなやってる事だから…

あなた

私1人だけ取り残されたような気がして

あなた

でも、、きっと普通のことが出来ない私がおかしいからっ…

あなた

不安で不安で仕方ないのに何が不安なのか分からなくて

あなた

誰にも…っ、相談っ、出来なくてっ…






あ、また私泣いてる。






えぐも、お仕事で疲れてるのに。






また迷惑かけちゃう。


















えぐ
えぐ
そっか
えぐ
えぐ
辛かったな
えぐ
えぐ
…その気持ちすっごいよく分かるよ
あなた

…へ?

えぐ
えぐ
俺もさ、学生の時は生徒会長やったり、好きなことしたり、それなりに毎日普通に過ごしてた
えぐ
えぐ
けど、この道を選んでから、普通の人とは違うことばっかりで、すっごい辛かった。
えぐ
えぐ
だって、普通に進学して、就職してれば別に通らなくてもいい道をわざわざ通っていくんだもん
あなた

うん…

えぐ
えぐ
確かに辛いことはいっぱいある。けどさ…
えぐ
えぐ
その時を必死に生きて、前を向いて、進むしかないじゃん?
あなた

うんっ…

えぐ
えぐ
でも、今のあなたみたいにたまに立ち止まっちゃう時があると思う。俺もそうだった。
えぐ
えぐ
そんな時はさ、つま先だけ前に向けて置けばいいんだよ。
えぐ
えぐ
背中は俺が押してあげる。傍にいてあげる。ずっと横で手を繋いでるから。
えぐ
えぐ
一緒に歩こ?
あなた

……うんっ……

えぐ
えぐ
悩んでる時ってさ、周りのこと見えてるようで見えてなかったりするんだよね〜
えぐ
えぐ
あなたの周りには絶対に隣を一緒に歩いてくれる人がいるから。たまには人に頼ってもいいんだよ?
えぐ
えぐ
ね?
あなた

えぐ…

あなた

うんっ…うんっ……

えぐ
えぐ
よく耐えたね。えらいえらい
あなた

ありがとうっ…












はいっ!第1回目!



こんな感じでシュチュエーション毎に書いて行きたいと思います!



よろしくお願いいたします!



ステラ✩.*˚

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