それから僕は、はるちゃんの家に毎晩招待され、ご飯をご馳走になりました。
相変わらず、はるちゃんのご飯は美味しいです。
ある日、いつものように会話をしていると、
ガチャガチャというドアを無理矢理開けようとする音と共に、
ガチっとしていて、少し雰囲気が怖そうな男の人が部屋に入ってきました。
その男ははるちゃんに向かって、
と大きな声で言いました。
はるちゃんの顔を見ると、真っ青になっていて、怖がっているようでした。
はるちゃんが恐る恐る聞くと
その男は僕を見て
えっと、情報収集が追いつきません。
勝手に入ってきたこの男。
はるちゃんの腕を握っては「やり直そう!」とばかり言います。
それを涙目になりながら「やめて」というはるちゃん。
これはどうしたらいいのでしょうか?
でも、はるちゃんがこの男にこんな顔をされているのが、僕はとても腹立たしく思いました。
一旦まずは情報収集、
と思い、僕はこの男に聞きました。
え?一体これはどういうことだ?
はるちゃんは別れたといい、
彼は別れてないと言いはります。
僕が悩んでいると、はるちゃんは僕の後ろに隠れ、服をすっと引っ張りました。
彼女の顔を見ると、今にも泣き出しそうです。
自分から出したことのない低い声に気づいた時には、もうあの男の姿はなかった。
と彼女は泣き崩れます。
はるちゃんはゆっくり少しずつ話してくれました。
あの男は、はるちゃんの元カレみたいです。
長い付き合いだったみたいで、別れるまですごく時間がかかったみたいです。
別れの原因になったのは、男のDV。
彼の仕事が上手くいかなくなると、はるちゃんに八つ当たりするようになりました。
お金をせびるようになったり、
暴力をふるうようになりました。
それに耐えきれなくなったはるちゃんは、別れを決意したようです。
当時は何事もなく別れることができましたが、1ヶ月を経った頃、
はるちゃんの家にいきなり彼が入ってきて、「やり直そう」と何回も言いにきたそうです。
それが付き纏いへと変わってきたので、引越しをしたのに、今日、その男が家に来たということだったみたいです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。