第14話

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2021/04/08 15:00
…さん
お客さん…!






遠くで声が聞こえる







タクシーの運転手
お客さん!
タクシーの運転手
到着しましたよ!
スニョン
スニョン
…はっ!
スニョン
スニョン
すみません。





最寄り駅に着き、お金を払って急いで自宅に向かった。









右ポケットに入れたピアスを見ながら昨日のことを思い出す










が。











スニョン
スニョン
あれ、…?







…おかしい。









スニョン
スニョン
なん、で…










思い出せない










彼女の顔が。










今日の朝見たばかりの、彼女の顔が。










それに、自分が降りた駅も、入った店の名前も、彼女のマンションの場所も。








ここに来て、アルコールが回ってきたのか。









スニョン
スニョン
クソっ…!







気づけば目の前にあった自宅のドアに拳をついていた。









…手掛かりは、ピアスだけ。













見つけなきゃ。








たった一晩だけ愛した、彼女のことを。








そんな使命感が、僕の心の中を埋めつくした瞬間だった。








必ず見つけるから








待ってて。












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