お嬢様side
手を引っ張られ、たどり着いたのはもう使われてない港。重岡は
『もう大丈夫ですよ。』
と言っているが、完全に此処にきた時点でおかしい。大丈夫なはずがない。そのまま重岡は続ける
『俺ずっとお嬢様の事好きやったんですよ。それなのに何故俺の愛に気づいてくれないんですか。俺はお嬢様の為なら何でもできるんです。ほら』
彼は恐らく、護身用にもっていたであろう、ナイフで自身の腕を切りつけた。私は「この人、おかしい」
『戸惑ってる暇なんてないですよ。お嬢様』
なんて彼は言っているが私は
「狂ってる」
と言っても、彼はふふっと笑い
『お嬢様はもう俺の物です。俺達の愛は命懸けですよ。』
なんて言う。
「俺達なんて言わんといて」
私の言葉はあの人の声でかき消された
『ふふっやっと見つけた。僕のハニー』
『早くかかってこいよ。』
また目の前で1発の轟音が鳴り響いた。
また飛び散ったのはとても綺麗な血だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!