第54話

50
2,833
2021/10/09 14:24
足が折れ、自由には動けない今、











私には何が出来るのかと考えていた。


























それはひとつしか思い浮かばない。


































出久の援護だ。


































私が見るに出久とマスキュラーの個性は似ている。



















私がマスキュラーだけの個性を消せれば出久が勝てるはず。





















ただえさえ自分を傷つけるかのように個性を使う出久なのだから、私がどうにかしてあげないといけない。
















































個性のコントロールが全く効かない私は出来るだろうか。


















失敗したら出久はどうなるのだろうか





























個性なしの力ならマスキュラーが上、もし失敗したら…


























そう考えると全く個性が使えなくなって、腕がプルプル震えていた。

















































「楽しめ!!」















「祭りなんだから!!」
















「自由にすればいい!!」












「お前にならできる」



































色々な言葉が脳裏によぎる。



















そして私はふと思う。



















































何故個性を使おうとする時だけ楽しまなかったのだろう、と。
































喧嘩は好きだ。だって強いから。











みんなと話すのも好きだ。大好きだから。
















遊ぶのも好きだ。楽しいから。
























個性を使うのは好きじゃない。難しいから。


























制御出来ないのが嫌だった。みんなみたいにできないのが嫌だった。






























まるで過去の私みたいじゃないか。




























ガラクタに過ぎないタダのお人形のようなものじゃないか。
































そんな気がしてままならなかった。



























けどそうだよね。



















出来ないのなんて当たり前だよね。






























だって、





























私自身が楽しんでないんだからさ。

プリ小説オーディオドラマ