第10話

心中する女の子たちの話。
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2022/08/17 09:14
君はある時こう言った。
「ねぇ、一緒に逃げようか」
そんなことを言う君の顔は悲しそうに笑っていた。君の身体に沢山の痣や怪我があって絆創膏を沢山貼っている。大切なものを沢山カバンに詰め込んで夜中に君と2人で逃げ出した。
「どこに逃げる?」
「どこがいいかなぁ」
2人で手を繋いで電車に乗って遠くへ逃げた。2人とも初めて大人に反抗した。君と来た場所は田舎で警察なんていなかった。どうやって逃げようか。苦しいのは嫌だよね。痛いのはもう慣れっこ、そういう君は笑ってた。今まで見た事のない澄んだ笑顔。それを見て私も嬉しくなってつられて笑う。それから2人で行った場所は海だった。真っ青な海に太陽が反射してキラキラ輝いている。
「綺麗だね」
「うん……」
砂浜に座って足をバタバタさせる君。その隣に座って海の方をぼーっと眺める。ふわふわの髪の毛が風に揺れている。髪の長い君と髪の短い私。膝より少し上なスカートにセーラー服。靴を脱いで海に脚だけ浸かる。気を抜けば波にさらわれる。
「■■ちゃんも入ろうよ!」
そう言って海に入ってく。夏が過ぎた季節でもまだ少し暑くて海の冷たさが心地よい。水を掛け合ってびしょ濡れになった。次は何しようか。君に手を引かれて、適当に道を進む。知らない場所、行ったことの無い所。君と一緒に居ればどこでも楽しいから何も言わない。日が落ち始めた頃、人気の少ない小さな公園を見つけた。ベンチに腰掛けて沈む夕陽を見る。
「またここに来たいね」
「そうだね」
沈みかけた太陽の光が眩しいのか目を閉じている。君は睫毛が長くて綺麗な顔立ちをしている。夜になってどこで寝ようか、なんて話をする。
「電車でもっと遠い遠い誰もいない場所に行こうよ」
そういう君と手を繋いで、昨日みたいに電車に揺られる。終点まで眠り、本当に人気のない場所に来た。街灯すら見当たらない。空を見上げれば満天の星空が広がっている。月明かりが眩しいくらいに光っていて、こんなにも星が見えるものなのかと思った。
「ねぇ、ここで死んじゃおうか」
君の言葉に私はただうなずくだけだった。そして、私達は手を繋ぎながら崖へと歩いた。足を踏みだす。でも、君の肩には力が入っていて泣いている。
「やっぱり怖いね」
そう言う君の声は震えていた。
「やっぱり、やめておく?」
そう聞けば首を横に振る。荷物を崖において、靴も脱いで、君の手をぎゅっと握り直して。
「私たち死んでも一緒だよね」
「うん」
そう言い、私たちはそっとキスをして、抱き合いながら崖から落ちた。
百合要素少なめです!(ゴメンナサイ)
心中なので苦手な人がいるかもしれません(ゴメンナサイ)
見にくいです、ごめんなさい。
本当は片想い3(結衣編)を投稿する予定だったのですが間に合わなかったので、裏で書いていたこれにしました。片想いの途中でこれを投稿してしまってすみません。
こんな駄作でも楽しんでいただければ嬉しいです。

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