☆10☆
恋愛なんてな…
やっぱり こんな人がするもんやねん。
バスケも上手くて、
言葉の切り返しも上手くて、
まぁまぁ〜イケメンで、
なんでも器用にこなせる。
俺じゃない。
ん?
っ!!!ぅへえッッッ!!!
りゅ、りゅ、りゅ、りゅ……流星ッ!!!
気付くと、流星が天使ちゃんと仲良さそうに おしゃべりをしていた。
な、な、な、、、
なにしとんッ!!!
流「前にもココで会ってん!よく会うね〜って、話しとったんよ。」
濵「そ、そ、そうなんだ。で?俺の話しとかしてくれた?」
流「や。全然。」
濵「ぅえぇぇぇーーーッ!してへんのぉ?!!!」
桐「濵ちゃん!流星には無理やて〜」
濵「無理ってなんや〜」
桐「あんなぁ〜?流星はイケメンやけど、恋愛経験無いねん!やから、キューピッドはでけへん!」
濵「イケメンやったら、恋愛経験豊富やろぉ〜フツ〜!」
☆11☆
桐「流星に彼女出来たとか聞いたこと無いやろ?」
濵「まぁ…せやけど…イケメンの持ち腐れやな…」
流「濵ちゃん ヒドッ!俺だってな!頑張っとるやんけ!」
せやな…
結局、頑張ってないねんな、俺…
桐「濵ちゃん!仲良くなれるチャンスやで!」
濵「へっ?全然分からへん!どこぞにそんなチャンスがあったんです?」
桐「アホやなぁ〜友達の友達はぁ??」
濵「…みな友達??」
桐「せや!!!」
濵・流「「古ッ!!!」」
照史の計画は…
流星が、天使ちゃんと おしゃべりしてるところに、俺が声を掛けて お友達になる。
桐「簡単やん!なっ!?濵ちゃん!」
や、簡単じゃないですよ〜
桐「俺も話しかけて ええ?」
流「おん!ええよ!」
や、楽しそうに…
なんか…部活…嫌やな…
☆12☆
早い!早い!
嫌やと思うてたら、すぐにその時間になってもうた!
もぉ〜なんでな〜〜ん??
桐「流星 あっこに来とるで!」
濵「お、お、お、おん…」
桐「ほら!円陣!」
濵「ふたりしかおらへんし…」
桐「頑張れんのかぁーーーッ?!!!」
濵「お、お、おれ、おれらすだ…い……や…」
もぉーーーッ!噛んだしッ!!!
桐「ええで ええでぇ〜!絶好調やんっ!!!」
濵「はぁ?噛んだで?」
桐「濵ちゃん?カッコつけよう思うてるんやないやろな?」
濵「え…やって、カッコええとこ見せたいやん…」
桐「アホかッ!そんなん捨てや!濵ちゃんには似合わへん!!!」
なんやのもぉぉぉ〜〜っ!!!
皆さん、
小説やから分からへんと思うけどな、
俺、流星ほどイケメンやないねん。
やから、
意中の子の前でカッコええとこ見せんなって、おかしない?
絶対 おかしいやろ?
俺、少なくともバスケでは、お笑いキャラやないねんで!
☆13☆
濵「あ"ぁぁぁぁぁぁーーーーッ!!!」
って、頭を掻きむしるの、俺のクセ。
桐「イライラすなってぇ〜」
照史…
お前が、さじ加減 間違うたからや!
分かっとらんのか!?
「あのさ、流星ってお前らの連れだろ?」
桐「おん。」
「あっちで、キャプテンと揉めてるぜ。」
えっ!!!
あのアホ!何やっとんねん!!!
「チョット来い。」と、キャプテンが天使ちゃんの腕を掴んで連れて行こうとした。
流「ちょ、待ってや!俺、その子と話しとるんやけど。」
流星が頑張って引き止めようとしてくれたんだけど…
キャプテンの虫の居所が悪かったのか…
キャ「あのな〜?コイツが好きなのは、お前の顔だけだ。」
天「えっ?先輩、何言ってるんですか!」
キャ「お前 友達に言ってただろ?俺のどこが好きなのか聞かれた時……『顔だけだよ』って!」
天「そ、それは出逢ったばかりの時に…」
今にも…泣きそうやん…
天使ちゃん…
☆14☆
キャ「コイツだって、どうせ顔目当てなんだろ?!!!」
天「そんな…ヒドい…」
キャ「ヒドいのはどっちだよ?こっちは、顔目当てで近寄ってきた女に騙されてたんだぞ!周りの奴らにどれだけバカにされたと思ってんだよっ!!!」
天「私はただ…一目惚れだったから…」
キャ「それが顔目当てって言うんだよ!!!」
濵「一目惚れの…どこがイケないんですか?」
俺は、フツフツと湧き上がる気を鎮めるように、トーンを抑えた。
キャ「はぁ?お前、俺に楯突くのか?」
濵「好きになる人に、どの時点で好きだと気付いたとしても…好きは変わらないんじゃないですか?」
キャ「お前に、お前なんかに、俺の辛さは分からないんだよ!」
濵「上辺だけやからや無いんすか?」
キャ「え……」
濵「逆に聞きますけど、キャプテンは本気で好きやったんすか?あの子にチヤホヤされて調子に乗っとったんや無いんすか?」
☆15☆
その時、眉間のシワが無くなり、キャプテンから怒りが消えていったかの様だった。
キャ「…好きだったからだろ?こんなに辛いのは…」
終わった…
天「先輩…」
キャ「今日は 帰れ。また連絡するから。」
天「う、うん。分かった。」
俺はホンマもんのアホや…
キューピッドになってもうた…
ポンポンっと肩を叩かれた。
振り返ると、照史の人差し指が頬を指した。
反対の肩をポンポンっと叩かれた。
そりゃあ、警戒して指を避けたのに、
流「なで肩のせいか!指が届かん!」
濵「流星…照史…」
もぉ〜俺、泣きそうだよ…
濵「なで肩のせいやないーーーッ!!!」
桐「濵ちゃんって…カッコええな!!!」
流「おん!マジ カッコええ!!!」
桐「誇りやなぁ?!!!」
流「おん!マジ 誇りや!!!」
濵「アホかぁーーーッ/// !!!」
マジ少しだけ…
泣いてもうたやんけ…
アホ…
☆16☆
もうええよ。
俺に恋愛なんて、出来るわけない。
初恋よ〜〜さらばだぁ〜〜!!!
昼休み。
あっ…
部室から出てくるキャプテンと天使ちゃんを見てしまった…
胸が…ギュッって…
ギュッって…
耐えられへんくて、購買まで走った。
しかも…
焼そばパンは、売り切れていた。
はぁぁぁぁ〜〜っ…
ついてないなぁ〜〜………
俺は、なぜか 食べたくもないメロンパンの袋を ぶらぶら持ちながら、教室へとトボトボ 戻った。
「濵田くん!」
っ!!!ぅへぇッ?!!!
振り向くとそこには、天使ちゃんがキラキラと眩しい笑顔を俺に向けていた。
俺の名前…
覚えてくれたんや…
天「あっ メロンパン!イイなぁ〜」
濵「え?…あ!あ、こ、コレね…焼そばパン無かったから…」
天「そうなの?私、朝買ったから、焼そばパンしか無かったの。食べる?」
と、焼そばパンを差し出された。
☆17☆
濵「へ?」
天「だってコレ、炭水化物地獄じゃん!」
濵「そ、そうやね…」
天「じゃぁ〜交換しよっ?」
濵「え、ええの?」
天「うん!ええよ!」
っ!!!はっ!!!
え、え、『ええよ』って言った。
完全に俺に影響されてるやん!!!
なんや?
なんなんや?
俺 今!トキメいてる!
でもな…
キャプテンの彼女やねんな。
この子を守ってくれる奴、居んねんな。
濵「あ〜ありがとう…ほなな。」
天「うん!ほな!」
なんや?
なんなんや?
天使かと思うとったけど、小悪魔やん!!!
『ほな!』とか言うとったしぃ〜〜
思わせぶり!
俺びいきかと思うで!
流「男って…アホやなぁ〜」
濵「せやろ?共感できるやろ?」
流「でもなぁ〜俺びいきかも知れへんやん?!」
濵「流星…せやな…お前には勝てる気せぇへんもん…」
そっか そっか…
俺やないんや…
☆18☆
浮かれポンチはもう辞めよぅ。
焼そばパンを食べ終わると、心を切り替える準備に取り掛かった。
濵「照史!今日からまた、競争な!」
桐「おっしゃぁー!あ!ズルはアカンで!いつもの、こしゃくな手 使うん、無しやからな!」
濵「せやな…俺、生まれ変わってん!正々堂々とや!」
桐「ぅうわぁ!今までズルしとったん、認めたぁ〜!」
濵「ズルちゃうわッ!作戦や!」
バスケやバスケッ!!!
俺にはバスケしか無いんやぁーーーッ!!!
濵「・・・負けた…」
うつつを抜かしとった間に、体なまっとる…
桐「今 食べたい!」
なんで俺が、パシらなアカンねん!
照史のやろぉーーーッ!!!
あ…
午後入荷のも、売り切れや…
もぉ〜〜なんでぇ〜〜??
天「濵田くん!」
濵「ぅへぇッ//!!!」
て、て、て、天使ちゃん…再びや…
☆19☆
天「ふふっw なんでいつもビックリするの?」
濵「え、や、女の子に話しかけられるの、慣れてへんくて…」
天「そう?濵田くん モテそうだけどなぁ〜」
濵「ぅへぇッ/// ?!」
天「またビックリしたぁ〜〜!」
濵「ご、ごめんなさい…」
あ"ぁぁぁぁーーーッ!!!
俺、顔 真っ赤やぁーーーッ!!!
誰か 俺が入れる穴をくださぁ〜いッ!!!
天「ふふっw 可愛い!」
濵「・・・・・」
とっさの行動って、分からへんもんやなぁ〜
何も言わず、走って逃げてもうたわ…
最悪や…
あれは別人の小悪魔ちゃんや…
コンッコンッ!
誰かが部室のドアをノックした。
天「濵田くん!コレ、渡しそびれちゃった!」
袋の中には、焼そばパンが3つ。
天「桐山くんと藤井くんにも、差し入れ!」
や、流星は部活やっとらんし…
濵「あ、ありがと…」
天「うん(笑)」
っ!!!ズッキューーーンッ!!!
え、笑顔、やっぱ天使やわ〜〜
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!