第2話

『 守るということ 』中盤
239
2019/05/13 16:32
☆10☆


恋愛なんてな…
やっぱり こんな人がするもんやねん。

バスケも上手くて、
言葉の切り返しも上手くて、
まぁまぁ〜イケメンで、
なんでも器用にこなせる。



俺じゃない。




ん?





っ!!!ぅへえッッッ!!!
りゅ、りゅ、りゅ、りゅ……流星ッ!!!


気付くと、流星が天使ちゃんと仲良さそうに おしゃべりをしていた。


な、な、な、、、










なにしとんッ!!!












流「前にもココで会ってん!よく会うね〜って、話しとったんよ。」

濵「そ、そ、そうなんだ。で?俺の話しとかしてくれた?」

流「や。全然。」

濵「ぅえぇぇぇーーーッ!してへんのぉ?!!!」

桐「濵ちゃん!流星には無理やて〜」

濵「無理ってなんや〜」

桐「あんなぁ〜?流星はイケメンやけど、恋愛経験無いねん!やから、キューピッドはでけへん!」

濵「イケメンやったら、恋愛経験豊富やろぉ〜フツ〜!」






☆11☆


桐「流星に彼女出来たとか聞いたこと無いやろ?」

濵「まぁ…せやけど…イケメンの持ち腐れやな…」

流「濵ちゃん ヒドッ!俺だってな!頑張っとるやんけ!」



せやな…
結局、頑張ってないねんな、俺…



桐「濵ちゃん!仲良くなれるチャンスやで!」

濵「へっ?全然分からへん!どこぞにそんなチャンスがあったんです?」

桐「アホやなぁ〜友達の友達はぁ??」

濵「…みな友達??」

桐「せや!!!」

濵・流「「古ッ!!!」」



照史の計画は…

流星が、天使ちゃんと おしゃべりしてるところに、俺が声を掛けて お友達になる。


桐「簡単やん!なっ!?濵ちゃん!」


や、簡単じゃないですよ〜


桐「俺も話しかけて ええ?」

流「おん!ええよ!」


や、楽しそうに…



なんか…部活…嫌やな…







☆12☆


早い!早い!
嫌やと思うてたら、すぐにその時間になってもうた!
もぉ〜なんでな〜〜ん??


桐「流星 あっこに来とるで!」

濵「お、お、お、おん…」

桐「ほら!円陣!」

濵「ふたりしかおらへんし…」

桐「頑張れんのかぁーーーッ?!!!」

濵「お、お、おれ、おれらすだ…い……や…」


もぉーーーッ!噛んだしッ!!!


桐「ええで ええでぇ〜!絶好調やんっ!!!」

濵「はぁ?噛んだで?」

桐「濵ちゃん?カッコつけよう思うてるんやないやろな?」

濵「え…やって、カッコええとこ見せたいやん…」

桐「アホかッ!そんなん捨てや!濵ちゃんには似合わへん!!!」


なんやのもぉぉぉ〜〜っ!!!

皆さん、
小説やから分からへんと思うけどな、
俺、流星ほどイケメンやないねん。

やから、
意中の子の前でカッコええとこ見せんなって、おかしない?
絶対 おかしいやろ?

俺、少なくともバスケでは、お笑いキャラやないねんで!






☆13☆


濵「あ"ぁぁぁぁぁぁーーーーッ!!!」


って、頭を掻きむしるの、俺のクセ。


桐「イライラすなってぇ〜」


照史…
お前が、さじ加減 間違うたからや!
分かっとらんのか!?


「あのさ、流星ってお前らの連れだろ?」

桐「おん。」

「あっちで、キャプテンと揉めてるぜ。」


えっ!!!
あのアホ!何やっとんねん!!!


「チョット来い。」と、キャプテンが天使ちゃんの腕を掴んで連れて行こうとした。


流「ちょ、待ってや!俺、その子と話しとるんやけど。」


流星が頑張って引き止めようとしてくれたんだけど…
キャプテンの虫の居所が悪かったのか…


キャ「あのな〜?コイツが好きなのは、お前の顔だけだ。」

天「えっ?先輩、何言ってるんですか!」

キャ「お前 友達に言ってただろ?俺のどこが好きなのか聞かれた時……『顔だけだよ』って!」

天「そ、それは出逢ったばかりの時に…」


今にも…泣きそうやん…
天使ちゃん…






☆14☆


キャ「コイツだって、どうせ顔目当てなんだろ?!!!」

天「そんな…ヒドい…」

キャ「ヒドいのはどっちだよ?こっちは、顔目当てで近寄ってきた女に騙されてたんだぞ!周りの奴らにどれだけバカにされたと思ってんだよっ!!!」

天「私はただ…一目惚れだったから…」

キャ「それが顔目当てって言うんだよ!!!」







濵「一目惚れの…どこがイケないんですか?」








俺は、フツフツと湧き上がる気を鎮めるように、トーンを抑えた。


キャ「はぁ?お前、俺に楯突くのか?」

濵「好きになる人に、どの時点で好きだと気付いたとしても…好きは変わらないんじゃないですか?」

キャ「お前に、お前なんかに、俺の辛さは分からないんだよ!」

濵「上辺だけやからや無いんすか?」

キャ「え……」

濵「逆に聞きますけど、キャプテンは本気で好きやったんすか?あの子にチヤホヤされて調子に乗っとったんや無いんすか?」






☆15☆


その時、眉間のシワが無くなり、キャプテンから怒りが消えていったかの様だった。


キャ「…好きだったからだろ?こんなに辛いのは…」




終わった…




天「先輩…」

キャ「今日は 帰れ。また連絡するから。」

天「う、うん。分かった。」



俺はホンマもんのアホや…
キューピッドになってもうた…


ポンポンっと肩を叩かれた。
振り返ると、照史の人差し指が頬を指した。

反対の肩をポンポンっと叩かれた。
そりゃあ、警戒して指を避けたのに、


流「なで肩のせいか!指が届かん!」

濵「流星…照史…」


もぉ〜俺、泣きそうだよ…


濵「なで肩のせいやないーーーッ!!!」

桐「濵ちゃんって…カッコええな!!!」

流「おん!マジ カッコええ!!!」

桐「誇りやなぁ?!!!」

流「おん!マジ 誇りや!!!」

濵「アホかぁーーーッ/// !!!」



マジ少しだけ…
泣いてもうたやんけ…
アホ…






☆16☆


もうええよ。
俺に恋愛なんて、出来るわけない。

初恋よ〜〜さらばだぁ〜〜!!!






昼休み。


あっ…


部室から出てくるキャプテンと天使ちゃんを見てしまった…

胸が…ギュッって…
ギュッって…

耐えられへんくて、購買まで走った。

しかも…
焼そばパンは、売り切れていた。

はぁぁぁぁ〜〜っ…
ついてないなぁ〜〜………


俺は、なぜか 食べたくもないメロンパンの袋を ぶらぶら持ちながら、教室へとトボトボ 戻った。



「濵田くん!」



っ!!!ぅへぇッ?!!!



振り向くとそこには、天使ちゃんがキラキラと眩しい笑顔を俺に向けていた。


俺の名前…
覚えてくれたんや…


天「あっ メロンパン!イイなぁ〜」

濵「え?…あ!あ、こ、コレね…焼そばパン無かったから…」

天「そうなの?私、朝買ったから、焼そばパンしか無かったの。食べる?」


と、焼そばパンを差し出された。






☆17☆


濵「へ?」

天「だってコレ、炭水化物地獄じゃん!」

濵「そ、そうやね…」

天「じゃぁ〜交換しよっ?」

濵「え、ええの?」

天「うん!ええよ!」


っ!!!はっ!!!
え、え、『ええよ』って言った。

完全に俺に影響されてるやん!!!

なんや?
なんなんや?

俺 今!トキメいてる!

でもな…
キャプテンの彼女やねんな。
この子を守ってくれる奴、居んねんな。


濵「あ〜ありがとう…ほなな。」

天「うん!ほな!」


なんや?
なんなんや?

天使かと思うとったけど、小悪魔やん!!!

『ほな!』とか言うとったしぃ〜〜

思わせぶり!
俺びいきかと思うで!





流「男って…アホやなぁ〜」

濵「せやろ?共感できるやろ?」

流「でもなぁ〜俺びいきかも知れへんやん?!」

濵「流星…せやな…お前には勝てる気せぇへんもん…」



そっか そっか…

俺やないんや…






☆18☆


浮かれポンチはもう辞めよぅ。

焼そばパンを食べ終わると、心を切り替える準備に取り掛かった。


濵「照史!今日からまた、競争な!」

桐「おっしゃぁー!あ!ズルはアカンで!いつもの、こしゃくな手 使うん、無しやからな!」

濵「せやな…俺、生まれ変わってん!正々堂々とや!」

桐「ぅうわぁ!今までズルしとったん、認めたぁ〜!」

濵「ズルちゃうわッ!作戦や!」



バスケやバスケッ!!!
俺にはバスケしか無いんやぁーーーッ!!!









濵「・・・負けた…」


うつつを抜かしとった間に、体なまっとる…


桐「今 食べたい!」


なんで俺が、パシらなアカンねん!
照史のやろぉーーーッ!!!


あ…
午後入荷のも、売り切れや…
もぉ〜〜なんでぇ〜〜??


天「濵田くん!」

濵「ぅへぇッ//!!!」


て、て、て、天使ちゃん…再びや…






☆19☆


天「ふふっw なんでいつもビックリするの?」

濵「え、や、女の子に話しかけられるの、慣れてへんくて…」

天「そう?濵田くん モテそうだけどなぁ〜」

濵「ぅへぇッ/// ?!」

天「またビックリしたぁ〜〜!」

濵「ご、ごめんなさい…」


あ"ぁぁぁぁーーーッ!!!
俺、顔 真っ赤やぁーーーッ!!!
誰か 俺が入れる穴をくださぁ〜いッ!!!


天「ふふっw 可愛い!」

濵「・・・・・」





とっさの行動って、分からへんもんやなぁ〜
何も言わず、走って逃げてもうたわ…



最悪や…



あれは別人の小悪魔ちゃんや…

コンッコンッ!
誰かが部室のドアをノックした。


天「濵田くん!コレ、渡しそびれちゃった!」


袋の中には、焼そばパンが3つ。


天「桐山くんと藤井くんにも、差し入れ!」


や、流星は部活やっとらんし…


濵「あ、ありがと…」

天「うん(笑)」


っ!!!ズッキューーーンッ!!!
え、笑顔、やっぱ天使やわ〜〜




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