一瞬幻覚かと思った。
いや、幻覚であって欲しかった…
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わたしと佐伯さんは横断歩道橋の上にいた。
…はるくんと海に行った時だ。
見られてたんだ。
答えようか迷ったけど…
はるくんに迷惑がかからない限りは
もう以前のようにはるくんとの関係を
あまりコソコソはしたくなかった。
佐伯さんは何か言いたげだったけど
何も言ってこなかった。
この人は、いきなり何を言い出すんだろう…
突然の事に、わたしは戸惑いを隠せなくて
首を横に振った。
佐伯さんがわたしをまっすぐ見つめて
そう聞いた。
わたしは佐伯さんの顔を見ずに
前を向いて
わたしは今の自分の気持ちを
佐伯さんにストレートにぶつけた。
だって…これがわたしの本心だから。
わたしは佐伯さんから背を向けて歩き出した。
また昔の記憶がよみがえってきてる…
わたしは走って、人気のない場所に行き
涙を流した。
どうしよ…今、どうしようもなく
はるくんに会いたい…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。