第11話

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2020/06/27 11:40
実弥side
実弥「あ、兄貴…?」
鳴弥「諦めてんじゃねぇぞ」
兄貴は俺を背中にかばいながら、話を続ける
鳴弥「俺が、どんな思いで母さんを殺して最愛のから離れたと思ってんだ…。」
『弟』。たしかに今、兄貴はそういった。
あぁ、兄貴は俺たちのことを思って…。
鳴弥「ほんとうは、鬼殺隊なんかいつ死ぬか分かんねぇような組織に入って欲しく無かった。どこか遠い所で静かに、でも幸せに暮らしてくれれば、それで良かった。」
玄弥「兄ちゃん、」
鳴弥「……今からでも遅くねぇ。逃げろ。」
実弥「っはぁ?!?!俺が兄貴置いて逃げろってのかァ?!」
鳴弥「そうだよ!今からでも鬼殺隊なんか辞めて!普通の生活送れよ!」
玄弥「……っ」
今まで弟妹に甘々だった兄貴が本気で怒鳴ってる。
鳴弥「獪岳っ!!」
獪岳「はいっ!」
こっちに突っ走って来たのは確か兄貴の継子。たった今到着したようだ。
鳴弥「実弥と玄弥連れてさっさと逃げろ、……あとは頼んだ…。」
獪岳「……っ!……いいんですね」
実弥「おい!それ本気で言ってんのか?!上弦の壱だぞ?!テメェの師範だろぉがァ!」
上弦の壱と1対1。柱とはいえ生身の人間。それが意味することは…。
獪岳「………師範は、自分の身を犠牲にしてもあんた達を護りたいんだ。その気持ちを無駄にすんなよ」
鳴弥「さすが、獪岳。俺の自慢だ!」
獪岳「……っ」
獪岳はうっすら目に涙を浮かべる。あぁ、こいつも辛いんだな。
上弦壱「馴れ合いは…終わったか…。どちらにしろ…皆斬るつもりだ…。」
鳴弥「そんなことさせるかよ!…いけっ!自慢の継子と弟たち…!」












兄貴の背中に浮かぶ『滅』の文字が、遠く離れていった。

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