ゆったりとしたパンツスタイルで
やってきた彼女 .
ひらひらと振る手を見て
つい手を振り返す .
反射神経って恐ろしい .
緊張した様子の彼女に
つい肩が上がる .
動作だけじゃなくて
感情も同期するなんて聞いてない .
顔を合わせて会釈をして ,
朝のご挨拶をすると
さっきまでなかった緊張が
ふわりとのしかかってくる気がした .
少し無愛想になってしまった気がする .
今ので態度悪いとか思われてないだろうか
ごくごく普通の社会人と大学生のくせに
辞書で引かれたような
堅苦しい言葉で会話を続ける .
そんな重くて堅いような空気に
何してるんだろうなんて笑いがこぼれる .
つられて笑ったような彼女の
少し照れたような笑顔が
俺の緊張を紐解いてくれた .
歳上なはずなのに
遠慮してるのか敬語を外さない彼女に
疑問を抱きながらも施設に足を踏み入れる
友達で集団で来てたり
中では俺たちみたいに
男女できてる人もいる
もちろん一人で来てる人もいる .
俺だって普通なら
スニョン達と来るような所に
女の人と肩を並べて来ている .
… 不思議なんだよな , この間と同じで
決まったなら話は早い .
俺たちはシャトルとラケットを手に
コートに向かった .
突然話しかけられたと思えば
そう声をかける彼女 .
要件は賭け事しないかとのこと .
ゲームが好きな身としては
少しワクワクするものがあった .
少し強ばった顔でそういう彼女 .
確かに俺は未だに彼女の名前を
呼んだことがない .
恥ずかしすぎるし ,
なんて呼ぶのが正解なのか分からない .
さん付け?ちゃん付け?
それとも , ヌナ呼び ??
どれも正直慣れなくて恥ずかしい .
でも , 彼女は俺に興味を
持って来てくれているのだろうし
それのお礼としてって言ったら変だけど
踏み入ってみるのもありだろうか .
驚く顔がちょっと面白くて
つい顔に笑みが出たままそう言う .
お昼ご飯がかかってる .
俺たちはお互いに
負けられない戦いになった .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。