長ったらしいゲームを終えて
全員とのボイスチャットを切ったあと
ジフナから個人的な電話がかかってくる
相手からこられたら余計
断りにくいけど
俺はもう心に決めたし ,
生半可な気持ちで彼女に会うのも
なんとなく失礼に感じた .
もう一度会ってみたにせよ
申し訳ない気持ちに追いやられそう .
その気持ちのまま接するのも
どうかと思うし .
そういったジフナは
するすると言葉を続けた .
それに価値はあるのだろうか .
楽しかった事実に嘘は無いけど
もう一度行くことに得もない .
それに俺 ,
あの人の名前すら呼んでないし
既読をつけてから早数時間 .
目上の人のメッセージを
無視しているようなもんだし
そんなのむず痒いから今すぐしよう .
でも , なんて返事するんだ ??
行くのか ?? 俺 ,
確かに思い返せば
行くことにメリットもないけど
行かないことにデメリットもない .
一日一日をゲームに費やして
廃人かよ ~ なんて思うことだってあるし
そう思うくらいなら
少し花のある一日にするのも ,
もしかしたらありなのかもしれない .
分かりました , 行きましょう │ 送信
あーやばい , 押すだけなのに ,
変に緊張してる ,
どうしよう ,
陸上部入ってたくらいだし ,
そりゃあ嫌じゃない .
運動神経だって悪いほうじゃないし .
スポーツで遊んだり
対戦したりして楽しむ施設だろう .
ボウリングとか , スケートとか
トランポリンとか , 球技も色々 .
これも高校生くらいで止まったな …
俺はジフナと話しているノリで
送信のボタンを押した .
向こうから誘ってきたのだし
俺はそれに はい か いいえ の
選択肢で答えればいいんだ .
緊張は無用 , そうだよな .
… 緊張なんかしちゃって
計画なんか立てちゃって
なんだよ , ただ楽しみな奴みたいじゃん .
俺は送信を押してから
すぐに携帯の電源を切った .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。