第17話

ベルフラワーの導く素敵な笑顔
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2021/05/28 15:04
緑谷 出久
ッ!(あれは確か...)
緑谷 出久
琴花さーん!
琴花 あなた
ッ!こ、こんにちは、緑谷くん..ッ
目頭に溢れる涙をさっと拭い、不自然でないようにすぐに振り向く
緑谷 出久
ここで何してたの?
それに、ここって..
琴花 あなた
特に何も無いよ(ニコッ
ここで大きな事件があったって聞いたから、ちょっと献花に
緑谷 出久
そっか(ˊᗜˋ)
緑谷 出久
(でも確か、この建物..事件じゃなくて事故だったような..それに、献花って言っても、お花は見当たらないし..)
しばらく俯いてだんまりしている緑谷くんを不思議そうに眺めていると、その後ろから人影が1つ近付いてきていた
琴花 あなた
あ、あの..爆豪くんがいるようだけど..
緑谷 出久
あっ、忘れてた..ッ
かっちゃん、ごめん..!!
爆豪 勝己
てめぇは黙って歩くことも出来ねぇのかよ、あぁ?💢
爆豪くんの表情、雰囲気..誰が見ても怒っていると捉えられた
琴花 あなた
2人でお出かけでもしてたの?
爆豪 勝己
あぁ?ンでこんなやつと出掛けなきゃならねェんだよ
緑谷 出久
そ、そこで会っただけだよ💧
琴花 あなた
そっか
爆豪 勝己
そういうてめぇはここで何してたんだよ
緑谷 出久
献花だって
爆豪 勝己
てめぇに聞いてねぇわくそが
緑谷 出久
ご、ごめん💧
爆豪 勝己
献花、ねぇ..
爆豪くんは私のことを疑うように見つめてきた

だけど、その瞳は、何かを悩んでいるようにも見えた
琴花 あなた
ッ....
琴花 あなた
ぁ..わ、私、そろそろ家に帰るね
緑谷 出久
あ、うん!引き留めてごめんね
じゃあね!
琴花 あなた
うん、さようなら(ニコッ
私がその場を去る時も、爆豪くんは依然として私のことを見つめてきた
爆豪 勝己
あいつの家..
緑谷 出久
琴花さんの家がどうかしたの?
爆豪 勝己
何でもねぇよ
緑谷 出久
あっ!!
爆豪 勝己
あぁ?ンだよ
うっせぇな
緑谷 出久
これ、琴花さんのかな..?
爆豪 勝己
ンなもん知るかよ
緑谷 出久
僕、届けてくるね!
爆豪 勝己
一々言わなくてもいいだろが
勝手にしろや




私はこの時、ふと思い出した


以前私がおつかいから戻った時、確かここで爆豪くんに会った

その時、多分..私の住んでいる場所があそこだってバレていたはずだ、と



きっとさっきの爆豪くんの目は、その事についての疑問だったんだと私は悟った
琴花 あなた
(彼なりの優しさ、ってやつなのかな)
私はそっと、その優しさを心の片隅に置いておいた













あの場から逃げ出すように別れを告げた後、私はただ、宛もなく街を歩いていた


活気溢れる商店街には夕食の材料を求める人でごった返していた



人混みを見ると、ふと思う
琴花 あなた
(知らない人に私の個性を使い続けると、どうなるのだろう)
と。


でも、答えは明白だ


そんなもの、意味がないに決まっている


知らない人に個性を掛けても、私の存在そのものを元から知らないのだから、忘れようにも、忘れる分の記憶がないのだから。
琴花 あなた
(もし..私が有名になんかなってしまったら、より私という存在の記憶も増える...そうなると、私を忘れてしまう人も増える、のかな..)
そんな考え事をしながら、私は街をずっと歩いていた


その時、一角にあったお店から、1人の子供が飛び出して来た

突如のことで反応が出来ず、私は子供とぶつかってしまった


子供と私では、流石に体格が違う。だからこそ、子供の方は地面に転んでしまった
子供
ご、ごめんなさぃ
琴花 あなた
ううん、大丈夫。
良く道を見て歩いていなかった私も悪いから
琴花 あなた
ごめんなさい
琴花 あなた
君こそ、怪我はない?
子供
う、うん..でも...
「でも..」と言いながら、子供は手に持っていたぐちゃぐちゃになってしまった紙を見つめていた。


私はすぐに子供が出てきたお店を確認した

お店は、お花屋さんだった
琴花 あなた
(誰かに..、お母さんに送るために、自分で買った、のかな..
それで、楽しみな気持ちを胸に外へ出ると、私と...)
琴花 あなた
(だとしたら、すごく申し訳ないことをした、よね..)
琴花 あなた
ねぇ、君
子供
な、なぁに?
琴花 あなた
そのお花、ちょっと貸してくれる?
子供
う、うん..
小さな手の中に握られていた紙には、確かに一輪の花があった

潰れて萎れてしまっているけれど、とても綺麗な花だった
琴花 あなた
(ベルフラワー)
ベルフラワーとは、落ち着いた紫色がとても綺麗な花
琴花 あなた
私ね、このお花を元通りにすることが出来るの
子供
ほ、ほんとう?!
琴花 あなた
うん、本当だよ
そう言って、私は花を両手で優しく握り、そっと個性を使った
すると、花はみるみると元の姿に戻っていった
琴花 あなた
ベルフラワーの花言葉は"感謝"
琴花 あなた
きっと、お母さんも凄く喜んでくれるよ(ニコッ
琴花 あなた
君が、お母さんと"楽しい会話"ができますように
ベルフラワーのもう1つの花言葉は"楽しい会話"


私は子供の手にそっとお花を乗せた
子供
本当に、元に戻ってる..
凄いね!お姉ちゃん!
琴花 あなた
ふふ、そうかな?
琴花 あなた
お花、大事に持って帰ってね
子供
うん!じゃあね!
子供は元気いっぱいの笑顔を浮かべて去って行った




私の個性の使用条件は私の感情

人間は何を持ってヒトと呼ばれるのか、答えはまだ明白には分かってない
けど、感情がない人間を、私はヒトだと思えない
それこそ、植物や何かと同じだと思ってる
でも...私はそっちも好き

だって、私も同じようなものでしょ
同類は好きだよ

私は花を咲かせる対価として感情を献上してる
別に、感情が奪われているという訳では無い



例えば、ブローディアを咲かせたい時は、保護や守りに類似した感情を出すことが条件。

特定の花を咲かせるためには、花言葉に沿った感情が必要、そんな感じ

だから厳密には奪われているのではなく、感情を具現化している、の方が正しいかもね


でも、個性を使うために感情をコントロールして来たからかな..本当の感情、分からなくなった
琴花 あなた
(使えば忘れられ、使わねばダメージ
そして..対価は感情)
本当に面倒臭い個性だと、改めて思う


だけど...
琴花 あなた
(あんなにも素敵な笑顔を浮かべてくれるんだ..
それなら、こんなもの、全然問題ない)
緑谷 出久
........
緑谷 出久
(琴花さん、あんな顔もできるんだ...)
緑谷 出久
...よし、
緑谷 出久
琴花さん!
琴花 あなた
(ビクッ
琴花 あなた
び、ビックリした...
ま、まだ何か用が..?
緑谷 出久
うん、さっき、これ落として行ったから
そうして渡されたのは、私のハンカチだった
琴花 あなた
わざわざありがとう
琴花 あなた
それじゃあ
と、軽く会釈する
緑谷 出久
あ、待っt..((
うん、じゃあね!














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作者
活動報告にて、今後についてお話しておりますので、お時間がある方は覗いて頂けると幸いです。
題名は「※必読※」となっております。

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