第14話

最後にもう1つ....
1,422
2020/11/22 08:16
琴花 あなた
........
しばらく無言で雄英の校舎を見据えていた私は、前方から歩いてくる人に遅れて気づいた
根津校長
やぁ、琴葉くん
琴花 あなた
どうも
根津校長
来てくれたんだね
琴花 あなた
まぁ..暇だったもので
根津校長
どんな理由でもいいのさ!
さぁ、中に入ろう
琴花 あなた
はい
根津さんはくるっと右回りし、校舎の方へと歩いていった


私もその後を静かについて行った
雄英の校舎内は、見た目よりも広く見えた



背の高いドア

整った最新設備



個性に特化したユニバーサルデザインだとひと目で分かった
根津校長
新しい生活はどうかな?
琴花 あなた
特に変わりありません
琴花 あなた
変化は、住む人数くらいですから
根津校長
そうだね..
あの事後、私は住む家がなく、さまよう羽目になるところだった


しかし、根津さんは私に住む家を与えてくれた


1人で暮らすには十分な家と、
最低の家具や設備も付けて



正直、なぜここまでしてくれるのかは分からない



ただ、私を雄英に引き入れたいが故の行為なのか

ただのお人好しなのか
だけど、後者だとすれば、雄英なんてすぐに破綻してしまうだろう
琴花 あなた
そう言えば、今雄英の生徒さんは何をしているんですか?
根津校長
みんな、今は授業中なのさ
根津校長
うちは他よりも入学が少し早いからね
君たちはまだ午前で帰れるとしても、うちは既に授業も始まっているのさ
琴花 あなた
そうでしたね
とまぁ、雄英について、世間話などを挟みながら紹介していただいた
琴花 あなた
じゃあ、最後にもう1つお伺いしてもいいですか?
根津校長
なんでもいいのさ!
琴花 あなた
私を雄英に引き入れたい本当の理由はなんですか?
根津校長
.......
根津さんはしばらく黙った
それについては特に何も思わず、私は根津さんの真意を探るように見つめていた
根津校長
もちろん、君の夢を叶えるためでもあり、私たちの願望
ヒーローになって世界を救って欲しい、というものもあるのさ
根津校長
でも、それは表面的なものだね
琴花 あなた
では、裏側には何があるのでしょう
私は利用される側には絶対になりたくない


そう決めていた
そんな都合のいい存在になるつもりはないし、どうせなら利用してやりたいから
根津校長
君の保護さ
琴花 あなた
保護..
なぜでしょう
根津校長
その理由は....
根津校長
残念だけど、今は君にも言えない
琴花 あなた
.......
琴花 あなた
そうですか
琴花 あなた
では、今は理由は聞かないことにします
ですが
琴花 あなた
いつか教えてくださると約束して頂けますか?
根津校長
あぁ、約束しよう
琴花 あなた
では、その契約の元に
琴花 あなた
私は高校編入の手続きを進めようかと思います
根津校長
それは大変助かるのさ!
琴花 あなた
ふふっ、後から不平等な契約だ、などとおっしゃらないでくださいね?
根津校長
約束するのさ
今日、雄英を見学して、改めて決意が固まった



この学校なら、きっと大丈夫だと思えた





私に振り回されても、きっと彼らなら、
「どうにか攻略してやろう」
そう思うと思ったから



だって、授業を受ける彼らの表情はとても真面目だった


その中に見つけた。


真面目な表情に隠れた




"楽しさ"を




















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