第3話

心の言葉
2,017
2021/01/09 14:00
今日、私たちの中学校で最後の行事が行われる
そう、卒業式
校長先生
卒業、おめでとうございます
琴花 あなた
ありがとうございます
賞状を受け取り、練習通りに元の席へ戻る











生徒
学校離れちゃうけど、また遊びに行こうねッ(泣
生徒
グスッ当たり前でしょ?
 

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
生徒
向こうでも強く生きろよぉぉ!(泣
生徒
当たり前だぁぁあ!(泣
生徒
うおぉぉおお!(泣
校門のあちこちで生徒同士が泣き合っていた

(卒業式はもう終わったんだから、すぐに帰ればいいのに..)


ふと、そう思ってしまった


でも、これは誰とも関係を作られないことへの妬みだったのかもしれない
琴花 あなた
ハナニラの花言葉は"悲しい別れ"
頭の上でパンッと指を鳴らすと、空からゆらゆらと花が舞い降りる
生徒
うわぁ、何この花..
生徒
綺麗..
私はあなた達と大して交流も取っていなければ、どんな感情も抱いてはいなかった


けれども、最後くらいは人間らしく、みんなに想いを届けておこうと思ったの


手を頭の上に固定したまま、もう一度指を鳴らす
琴花 あなた
青い薔薇の花言葉は"夢叶う"
生徒
わぁッ今度は青色の花びらになった!
ハナニラから青いバラに切り替えると、私はその場を去った
琴花 あなた
さようなら
きっと、もう会う事は無いから..


会ったとしても、きっとあなたは私を知らないもの
???
ね、ねぇ!
琴花 あなた
ッ!な、なに..
???
今の、君の個性?!
琴花 あなた
そう、だけど..
普段は人を避けているから、こうして話しかけられることも少なかった


最後だから、というのもあるかもしれないけれど


会話というものを同じ年代でしたことはなかったから、私は少し緊張してしまった
琴花 あなた
あなたは..緑谷、出久くん..だよね?
緑谷 出久
そうだよ!
良かった〜名前、知っててくれたんだ!
琴花 あなた
だって..同じクラスだし..
緑谷 出久
そ、それもそうだね💧
琴花 あなた
........えっと、もう..いい?
もう用はないのかな、と、私はすぐに立ち去ろうとした
緑谷 出久
あ、ちょっと待って!
後ろを向いた途端、服を少し引っ張られ、私はもう一度振り向いた
琴花 あなた
まだ、なにか..
緑谷 出久
その..さっきの花って、君の個性なんでしょ..?
なら、どうして、今使ったの??
琴花 あなた
.....最後、だから
緑谷 出久
最後、?
琴花 あなた
ハナニラの花言葉は悲しい別れで、
青い薔薇の花言葉は夢叶う
琴花 あなた
言葉にするのは、苦手だから..その、ッ
花言葉で..
緑谷 出久
ッ!なるほど!!
さっきの花で、気持ちを伝えてたんだね!
琴花 あなた
え、えぇ..
そう言われ、私は少し恥ずかしくなった


苦手だからこそ、回りくどく..気持ちを伝えていた

だけど、こうして率直に伝わるということは、無かったから
緑谷 出久
琴花さんって、すごく優しいね!(ニコッ
琴花 あなた
ッ..
緑谷 出久
あ、僕そろそろ行かないと..
琴花さん、またどこかで会おうね!
緑谷くんはそれだけを私に言うと、走って行ってしまった


その場に取り残された私は、とても複雑な気持ちだった
琴花 あなた
優しい、か..
琴花 あなた
そんなこと、、初めて言われた
私の個性はいつだって

みんなには届かなくて

私の行動はいつだって

みんなには認められなくて

私の想いはいつだって

みんなには伝わらない


自分の想いが、初めて伝わった気がして...
琴花 あなた
とても、嬉しい..




ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
















プリ小説オーディオドラマ