第20話

キンセンカ、花言葉は別れの悲しみ
1,290
2021/01/09 14:04
先生
うん、これで書類は揃った
あとはこれを雄英に送れば、準備は完了ね
先生
書類は学校側から渡しておくから、あとは連絡を待つだけね
琴花 あなた
はい、色々とありがとうございました
トントン と、机の上で書類の角を揃え、封筒の中へと入れる先生を見つめ、私はお礼を言った

連絡が来れば、あとは編入試験のみ
先生
編入試験、頑張ってね
琴花 あなた
はi..((
最後の言葉を言い終える前に、私の声が別の声によってかき消された
生徒
え!!琴花さん、転校しちゃうの?!
生徒
まじで?!
生徒
やっと仲良くなれたと思ったのにな〜
声の正体は、私のクラスメイトだった

どうやら、私と先生の話を盗み聞きしていたらしい
琴花 あなた
...まぁ、一応そうなってて
私は少し、曖昧な口調でそう言った

濁したのは、まだ確定できていないからだ
だって私..まだ試験受けてないし
生徒
なんで言ってくれなかったんだよ!
琴花 あなた
確定したら言おうと思ってたから
生徒
でも、そっかぁ..寂しくなるね
そんなこと、心から思っているはずがない
たった1人がいなくなるだけなんだから

私とクラスメイトは、ただのクラスメイトでしかないから
同じ教室で学んでただけ。


箱の中でクラスメイトを演じていただけの仲



だけど....━━━━━━━
生徒
で、どこに行くんだ?
琴花 あなた
...雄英
生徒
ぇ、
聞こえなかったのだろうか、と思い、私はもう一度

「雄英」とはっきり言った
生徒
え、
すると、相手は 「ぇ」が「え」になっただけで、口を開けてただ唖然と私を見るだけだった
生徒
だって、おま、雄英だぞ..?あの
琴花 あなた
うん
生徒
......雄英だぞ?
琴花 あなた
うん
生徒
......雄e((
琴花 あなた
うん
生徒
なんか、すごい方向転換だね..
生徒
だってここ、進学校だから、ヒーローとは表向きには無縁だし
琴花 あなた
確かにそうだね
生徒
これって、理由聞いても大丈夫系..?
琴花 あなた
大丈夫だよ、それくらい
生徒
じゃあ..なんで、雄英なの?
琴花 あなた
あっち雄英に誘われたから
琴花 あなた
だから、私自身の理由は特にないの
今のところは、まだないに等しい

ヒーローを目指すとも決めてはいないし
ただ、夢の土台にするだけだから

まぁ、向こう雄英は私をヒーローに仕立て上げるつもりなんでしょうけど
生徒
あ、あはは..琴花さんらしい回答だから、なんか色んな感情どっか行っちゃったよ💧
生徒
なぁ、いつ頃転校するんだ??
私の考えだと、今日書類を送ると、返事は3日以内だと想定される。

まぁ..あんなにも執拗い方々なので、1日で返ってくるだろう
そうなると..編入試験は1週間以内の休み..つまり、土曜日だと予想される

そこで私が受かったならば、用意なども特にないため...
琴花 あなた
来週になるかな
琴花 あなた
だから、この学校でみんなと勉強するのは、今週いっぱいで終了
琴花 あなた
来週には、もう来ないと思う
生徒
そっか..
今のは少し冷たかったかな、と自分で思いつつも、あれが自分の中の精一杯だと妥協した






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





さて、長々と編入までの物語を書かれても退屈だと思うので、内容を省くこととしましょう

ということで、本日はこの高校で過ごすのが最後の日です

私の予想では、今日のHRは少し..いや、かなり長引くでしょうね
短い期間だったとは言え、私のクラスメイトの事は少し理解しているつもり

だから..きっと
先生
これでHRは終わります、が
先生
琴花さん、前に出てきてくれる?
琴花 あなた
はい
静かに席を立ち、教壇の近くへ出る
生徒
せーっの!!
生徒の代表がそう声にすると、生徒がに立ち上がった


立ち上がった生徒たちが一斉に上方向に何かを投げた
琴花 あなた
花弁...
先生
あなたのことだから、これくらいの事は予想していたんでしょうけど、一応サプライズよ
私はそっとしゃがむと、落ちた花弁を手にとった
琴花 あなた
キンセンカ..花言葉は...
琴花 あなた
......ふふ、
生徒
花言葉も調べてさ、花屋まで買いに行ったんだ!
琴花 あなた
それはそれはご苦労様でした
琴花 あなた
じゃあ、私からも
私は教室の端っこに置かれていた花瓶を取り、上からハンカチをかけた

素早くハンカチを花瓶から取ると、そこには一輪の花が咲いていた

まぁ、私の個性だけれど
先生
白いダリアね
生徒
ねね、花言葉は?
琴花 あなた
この場から大体想像して欲しいものだけれど..
琴花 あなた
感謝、かな
生徒
いや、口で言えよっ(笑)
生徒
でも、ダリアって確か、夏頃に咲くんじゃ..
琴花 あなた
うん、だから、すぐに枯れちゃうかな
本来は私がそうしない限り枯れない。

けれど、ずっと形として残っている言葉なんて、ないから
琴花 あなた
それじゃあ、私は明日の準備もあるから、帰るね
琴花 あなた
さようなら(ニコッ
生徒
ほんと、相変わらずだな..
おう、じゃあな!
生徒
じゃあね!
ただ、クラスメイトを演じていただけ


だけど....このクラスは、すごくいいクラスだよ






















プリ小説オーディオドラマ