私が手を伸ばすと、緑谷くんは私の手を強く取ってくれた
彼の体も既に空中にあり、着地をするしか助かる方法はなかった
でも、彼ならこれくらいの高さ、難なく着地できてしまうんだろうな
彼は私を抱えながらそう言った
私はここで個性を解除した
屋上でギリギリ発動できた個性
オトギリソウ
オトギリソウの花言葉は秘密
秘密による効果は、対象物を秘密にする..つまり、隠すこと
私はずっと、手に拘束具を握っていた
別にポケットなどにしまっていてもいいけれど、落下している状況で取り出すのは難しいし、何より緑谷くんに気付かれてしまう
だから隠した
だけど、今それを解いたということで、私の手には拘束具が顕になっている
「...カチャ」
私は緑谷くんの両手を拘束した
このままでは2人共地面に叩き付けられる訳だが、琴花は平然としていた
そう唱えると、私の背中に鳥のような花弁が現れた
そのまま軽く飛翔し、着陸した
無論、私も彼も無事だよ
直後、会場にブザーが鳴り響いた
演習終了だ
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私達がモニターの前に戻ると、みんなは唖然としてモニターを見ていた
もう演習は終わっているのに、と私はただひたすら疑問に思ったけれど、それ以外は気にならなかったので放っておくことにした
ちなみにと言うと、緑谷くんは俄然ブツブツ言ってる、ちょっと煩わしい
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少し冗談を言ってみたつもりだけど、ここまで純粋な反応をされると罪悪感というものが生まれる
まぁ冗談という名の本音だけれど
彼の個性はパワー系でありスピード系であり..と、まぁ簡単に言えばオールマイトに良く似た個性
まぁ、彼の場合は自ら制御しているようだけれど
で、彼の個性なら4階くらいならものの数秒で登りきってしまう
そこまでは八百万さんも予想出来てるみたいだから、そこの説明は省いて説明することにした
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A組の結論
「琴花あなたは良く分からないやつ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。