第10話

咲かぬ花
1,634
2020/10/28 12:59
闇は、因縁かのように訪れ、人の身体を蝕む
琴花 あなた
はぁ..はぁ..ッ
暗く、細い路地を全力で走り、どんどん奥へと向かう
息は既にあがっていて、足も身体に着いていくので精一杯かのように重くなっていた
???
ほーら、もっと逃げないと
琴花 あなた
ッ...💦
自分の後方から聞こえる声に、私は酷く焦った
琴花 あなた
お願いだから咲いてよ..ッ  ((ボソッ
???
ん?なーに?
琴花 あなた
ッ....
買い物から帰り、施設に入ろうとした時、後ろから声をかけられた


何か重くのしかかるような気配を感じ、咄嗟に
「危険だ」と思った



その相手が、今私が逃げている相手だった。


その人はずっと余裕な表情,声で追いかけ続けてくる



まるで、完全に計画を練って行われているかのように
琴花 あなた
なんで..ッ
琴花 あなた
なんで、追いかけてくるの..
???
んー、まぁ、君の個性関係かな
琴花 あなた
そう、
その個性に関しても、気になることがあった。




さっきから試しているけれど...






使えない
相手の個性なのか、それとも、何らかの原因で今使えないだけなのか


どちらにせよ、使えないのは少々苦しかった



そして、もう1つ最悪の状況に陥ってしまった。



逃げ続けていたのはいいけれど、行き止まりに差し掛かってしまった



この時に気がついた

追い込まれていた、と
琴花 あなた
あなたは一体..誰
???
うーん、今はまだ教えられない。
けど、君の敵って捉えてもらえばいいかな
琴花 あなた
敵..ヴィランではないのね?
まぁ、一応人は襲ったことないしね
琴花 あなた
今、襲ってるじゃない
まぁ、君は..ね
でも、仕方ないじゃん
だって君、厄介だもん
琴花 あなた
ッ..何にせよ、私とあなたが関わる義理はないから、そこをどいて欲しいのだけど
額を冷たい汗が流れた


空気が重く、緊張状態にあった
うーん、それは無理だね
まぁ、君を捕まえてからならどけてもいいけど
琴花 あなた
それなら意味が無い
あはは
それもそうだね
この人の話し方には特徴がいくつかあった


話し方がとても幼いこと

やたらと接続詞が多いこと



まるで、園児と話しているようだった



だけど、相手は大人で、頭の回転だって速い
ねぇ、君..思ったでしょ
個性が使えない、って
琴花 あなた
........
私は表情を崩すことなく、話を聞いていた
それね、俺の個性
詳しく言うのは何となく嫌だから、簡単に教えるね
まぁ...君は、個性の使い方を忘れてる訳
琴花 あなた
忘れてる、、
琴花 あなた
(つまり、意識が阻害されてるんだ..)
物事を行うには、何事にも意識が必要。

無意識と良く言うけれど、それは脳がそれを行うと判断しているためだ


その判断基準である意識を阻害された場合、脳はその動作を忘れていると判断することがあると聞いたことがある
琴花 あなた
(でも、意識を操られないようにするには、心理戦を行うしかない)
琴花 あなた
(...私には今、感情がないと言っても過言ではない..個性が使えないのだもの..どうすれば、、っ)
さて、俺達にも時間がないから、そろそろ終わらせるよ
琴花 あなた
ッ!(どう来る..っ)
相手が行動を起こそうとしているのに気が付き、動きの予想を立てようと試みるが、それは叶わなかった



相手は想像以上に速く動き、パシッと私の手を掴んだ
琴花 あなた
離しt..((
琴花 あなた
んんっ!!
声をあげようとする私の口を、手で覆われた
さーてと、眠ってね
口元を触れるのは、手ではなく布だった


その布からはほのかに甘い香りがしており、だんだんと視界がぐらついてきた
次第に体の力が抜け始め、カクンッと膝が崩れ、相手に身体を預けるしか無かった
琴花 あなた
(私の個性なんかが、何になるって言うのよ..)
完全に私がおちたと判断した敵が、口元の布を取った


その時にはまだ少しだけ体力が残っていたため、私は最後の足掻きをした
琴花 あなた
助けて..ッ!!









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