第2ラウンド開始、私たちの作戦もここでセカンドに移行する
薄々こうなることは予想出来ていたから、対策くらいはしてある
ここで私たちがすべきことは1つ
そう耳打ちすると、私たち2人は方向を転換し、緑谷くん達とは反対の方向に走った
少し考えた後、緑谷は琴花達を追う決心をした
今私たちがすべきことは、相手の捕獲
まず相手の行く手を塞ぎ、逃げ場も塞ぐ
あとは確実に捕らえる
しかし、その前提条件として、私たちの作戦は絶対に悟られちゃいけない
頭の中で作戦を軽く見直し、実行の機会を伺う
流石に、この場の緊張感は肌を通じてピリピリと感じるもので、響香も少し顔を引き攣らせていた
数秒で角に差し掛かり、私たちは素早く左折した
地面にプラグを挿した響香は、緑谷くん達の足音が速くなったことから、速度アップの予想を出した
響香は足に付いている装飾品の音響機器にプラグを挿し、緑谷くん達が来るのを待った
対して私の目的は緑谷くん
一見私に分が悪いように見られ勝ちだけど、まだ相手にとって私は情報の少ない要注意人物なんだよ
だから、今のうちに牽制しないでどうする
私は響香に背中を預けるように後ろを向き、個性を発動させた
案の定、前方から麗日さん
後方から緑谷くんが来た
ここまでは順調
でも、今から本番がスタートする
作戦に頼ってばかりじゃダメ
作戦+土壇場の判断で動くしかない
...面倒だな
麗日さんはすんでのところで地面にころがっていた看板を浮かせ、響香の音響攻撃を跳ね返した
自分の方向に跳ね返った攻撃を、響香は左に避けて回避する
響香は速度を上げ、麗日さんに突進した
麗日さんの体を掴み、手に装着していた音響増幅装置にプラグを挿入し、至近距離から麗日さんに攻撃を入れた
もし私が響香の立場なら、同じことをしてた
言葉で一応謝ってるけど、容赦ない所、嫌いじゃない
さて、次は私の番だね
事前に仕掛けておいたシレネの花
シレネの花言葉は"罠"
どんな罠なのかという具体的な知識があれば落とし穴でも鉄球落としでも、なんでもできる
ただし、殺傷能力はない
痛みの上限は精々お盆を頭に落とした程度のもの
ちなみに今回仕掛けた罠は
殺傷能力、攻撃力がゼロに近い代わりに、こういう拘束系の罠はかなり精度がいい
罠の存在には驚いたようだけど、
緑谷くんはそれを軽々と避けてしまった
シレネの罠は囮に過ぎない
本命はこっち
シレネの罠を避けた先に仕掛けていたもう1つの罠
ジシバリ
この花の花言葉は"束縛"
束縛と聞くと、少し個性的な恋愛感情の方に聞こえるかもしれないけど、言葉そのものの意味は相手の自由を制限すること
それに、今回の意図は相手に干渉する程度だし
緑谷くんは地面に着いた瞬間に再度空中へと跳んだ
麗日さんの拘束を終えた響香が私の元に来た
緑谷くんは建物に吊られていた看板に足を着け、脚力のみでこちらへ跳ね返るように移動した
彼は瞬きの間に私の横を通った
蹴られた看板は粉々に粉砕していた
これだけでも威力が伝わるんじゃないかな
緑谷くんの目的は響香だった
きっと、空中に飛んでいたあの一瞬で響香の姿を捉え、作戦を組んでいたんだと思う
さて、これで1vs1な訳だけど
面倒くさいな..
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。