第32話

戦場
905
2021/05/31 15:56
第2ラウンド開始、私たちの作戦もここでセカンドに移行する

薄々こうなることは予想出来ていたから、対策くらいはしてある
ここで私たちがすべきことは1つ
琴花 あなた
一旦引こう
耳郎 響香
うん
そう耳打ちすると、私たち2人は方向を転換し、緑谷くん達とは反対の方向に走った
麗日 お茶子
ッ!デクくん!耳郎さん達が..っ
追う?
緑谷 出久
ッ...うん、そうだね!
少し考えた後、緑谷は琴花達を追う決心をした











琴花 あなた
(やっぱり、緑谷くん達は追ってきた)
琴花 あなた
(でも、緑谷くんなら私たちに何か策があると分かってて来てるはず)
今私たちがすべきことは、相手の捕獲

まず相手の行く手を塞ぎ、逃げ場も塞ぐ
あとは確実に捕らえる

しかし、その前提条件として、私たちの作戦は絶対に悟られちゃいけない





頭の中で作戦を軽く見直し、実行の機会を伺う
耳郎 響香
ッ....
流石に、この場の緊張感は肌を通じてピリピリと感じるもので、響香も少し顔を引き攣らせていた
琴花 あなた
響香、あそこの角左に曲がったら、多分緑谷くん達は速度を上げて挟みに来ると思う
だから、待ち伏せる
耳郎 響香
了解
数秒で角に差し掛かり、私たちは素早く左折した
耳郎 響香
....うん、速度上がったかな
地面にプラグを挿した響香は、緑谷くん達の足音が速くなったことから、速度アップの予想を出した
琴花 あなた
じゃ、ここでいい
やろ
耳郎 響香
だね
んじゃ、ウチは麗日だね
琴花 あなた
うん
響香は足に付いている装飾品の音響機器にプラグを挿し、緑谷くん達が来るのを待った

対して私の目的は緑谷くん
一見私に分が悪いように見られ勝ちだけど、まだ相手にとって私は情報の少ない要注意人物なんだよ

だから、今のうちに牽制しないでどうする


私は響香に背中を預けるように後ろを向き、個性を発動させた
麗日 お茶子
ぃよっし!!
緑谷 出久
耳郎さん、琴花さん!
麗日 お茶子
覚悟ぉおっ!
麗日 お茶子
って...
案の定、前方から麗日さん
後方から緑谷くんが来た

ここまでは順調

でも、今から本番がスタートする
作戦に頼ってばかりじゃダメ
作戦+土壇場の判断で動くしかない


...面倒だな
耳郎 響香
覚悟はそっちだよ!
麗日 お茶子
ッ!私だって、負けへん..っ!!
麗日さんはすんでのところで地面にころがっていた看板を浮かせ、響香の音響攻撃を跳ね返した

自分の方向に跳ね返った攻撃を、響香は左に避けて回避する
耳郎 響香
ッ..やるね..
耳郎 響香
だけ、ど!!
耳郎 響香
(作戦だけじゃ勝てないって、あなたにはなから教えられてんだ..判断力だって負けてらんない!)
響香は速度を上げ、麗日さんに突進した
耳郎 響香
(ゼロ距離...ッ)
耳郎 響香
ごめん、麗日..!
麗日 お茶子
なッ
麗日さんの体を掴み、手に装着していた音響増幅装置にプラグを挿入し、至近距離から麗日さんに攻撃を入れた

もし私が響香の立場なら、同じことをしてた
言葉で一応謝ってるけど、容赦ない所、嫌いじゃない

さて、次は私の番だね
緑谷 出久
ッ!麗日さん!
琴花 あなた
余所見してる余裕ないと思うけど
緑谷 出久
ッ!
琴花 あなた
ほら、足元が疎かだよ
事前に仕掛けておいたシレネの花

シレネの花言葉は"罠"

どんな罠なのかという具体的な知識があれば落とし穴でも鉄球落としでも、なんでもできる
ただし、殺傷能力はない
痛みの上限は精々お盆を頭に落とした程度のもの

ちなみに今回仕掛けた罠は
緑谷 出久
ッ..蔦...!
殺傷能力、攻撃力がゼロに近い代わりに、こういう拘束系の罠はかなり精度がいい
緑谷 出久
(僕が飛び出すタイミングで発動させてきた..)
緑谷 出久
(罠のタイミングが的確だ..良く見てる)
罠の存在には驚いたようだけど、
緑谷くんはそれを軽々と避けてしまった
琴花 あなた
流石
琴花 あなた
でも
緑谷 出久
ッ!まだあるのか..っ
琴花 あなた
(二重トラップの可能性も捨てない
戦場では鉄の法則だよ)
シレネの罠は囮に過ぎない
本命はこっち
琴花 あなた
(さっきは避けられたけど、今回は体勢くらい崩してくれると嬉しいな...)
シレネの罠を避けた先に仕掛けていたもう1つの罠
ジシバリ

この花の花言葉は"束縛"
束縛と聞くと、少し個性的な恋愛感情の方に聞こえるかもしれないけど、言葉そのものの意味は相手の自由を制限すること

それに、今回の意図は相手に干渉する程度だし
緑谷 出久
ッ.....
琴花 あなた
ッ!
琴花 あなた
(花言葉の発動よりも早く反応した..)
琴花 あなた
(速いな)
緑谷くんは地面に着いた瞬間に再度空中へと跳んだ
耳郎 響香
ッ!あなた!
麗日さんの拘束を終えた響香が私の元に来た
琴花 あなた
ッ!響香、下がっt...
耳郎 響香
なッ...
緑谷くんは建物に吊られていた看板に足を着け、脚力のみでこちらへ跳ね返るように移動した

彼は瞬きの間に私の横を通った

蹴られた看板は粉々に粉砕していた
これだけでも威力が伝わるんじゃないかな
緑谷 出久
耳郎さん、確保!
緑谷くんの目的は響香だった
きっと、空中に飛んでいたあの一瞬で響香の姿を捉え、作戦を組んでいたんだと思う
琴花 あなた
(彼、本当に変わったな)
さて、これで1vs1な訳だけど

面倒くさいな..






















プリ小説オーディオドラマ