第22話

心の底にあるもの
1,218
2021/03/16 08:21
相手はロボット

手加減をする必要も、あの事も、
何も気にしなくていい

自由に個性を使って、好きに暴れてもいい
大丈夫
琴花 あなた
ふぅ...
全身に酸素を行き渡らせるイメージをすると、深く息を吸う
強ばる体の筋肉を解すように、全てを吐き出す
琴花 あなた
クロユリでいいかな
私はクロユリを咲かせると、言葉を花弁に込めた
琴花 あなた
そこから動いたら、あなた達、みんな壊れるよ
琴花 あなた
まぁ、ロボットには私の声なんて、届かないと思うけど
そして次の瞬間、一体のロボットが私の方へと進行して来た

しかし..
相澤 消太
ッ!
1歩動いただけのはずだったロボットは、心臓部のネジを外されたかのように崩れていった
琴花 あなた
クロユリの花言葉は"呪い"
琴花 あなた
1歩でも動いたら壊れるように呪った
この試験はヒーローとしての適正
攻撃力
多くのものを一気に判断するため、仕掛けが大量に施されている

例えば、市民を模した人形が設置されていたり..
琴花 あなた
(もちろん、これは守らなきゃならない)
琴花 あなた
ブローディアの花言葉は"守護"
たくさん咲かせたブローディアを市民を模した人形の元に1本1本散らせる
相澤 消太
(街、市民への配慮、そして討伐..全てを担っている)
相澤 消太
試験は終了だ、門の前に来い











琴花 あなた
(なんか、全部あの時と似てたな...)
攻撃、市民の守護
それらに用いた用法が、全てあと日に似てた


もう、割り切ってるはずなのに、少し..心の底が重たい感じがする
相澤 消太
来たか
琴花 あなた
はい
琴花 あなた
あの、私..
相澤 消太
あぁ、合格だ
琴花 あなた
ぁ、え、あ、はい
柄にもなく凄く動揺してしまった
相澤 消太
(ひとまず合格だが、個性の使用の仕方によっては、殺傷能力も左右される..注意すべきか...)
無表情で私を見つめる相澤さんに、私は少し疑問を抱いた


無表情は無表情でも、私を疑うような目で見ていたからだ
琴花 あなた
(私の個性、かな)
私の個性は確かに、応用能力が高い

護りも、攻撃も、支援も
全てを担うことが可能

しかし、殺傷なんかに使う気持ちはさらさらない
だって、誰もそんなことは望まないのでしょう?

もし私が好んでそれを行うのであれば、私はここにいない
琴花 あなた
あの、私
琴花 あなた
この個性を誰にも利用されたくはないですし、正しくないことには使いたくないです
相澤 消太
......
琴花 あなた
絶対、夢を叶えたいので
相澤 消太
...そうか
琴花 あなた
あ、次は何をすれば
相澤 消太
あぁ、校内に戻って、受け取るものを受け取って来い
琴花 あなた
分かりました
琴花 あなた
ありがとうございました


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無事編入試験に合格したことを高校側に伝えると、先生は電話向こうで大声を上げていた

思わず耳を電話から遠ざけてしまったが、それほどまでに感情を出してくれるんだと思うと、改めて感謝の気持ちが募った
先生
それで、大丈夫そう?
準備とか、手伝わなくて大丈夫かしら?
琴花 あなた
はい、大丈夫です
琴花 あなた
3日程時間を頂いて、こちらでゆっくり進めていこうと思います
先生
そう、、分かったわ
試験、お疲れ様
頑張ってね
琴花 あなた
はい、ありがとうございました
受話器を置き、私は家の方面へと向かった

これから編入に向けてまだまだすることがあるから、それに取り掛かる

コスチュームのデザインや用具の確認

そこまで難しいことではないけれど、3日も貰っているのだから、丁寧にやっておこうと思った
琴花 あなた
(でも、困ったな...)
何を困るのか、それはコスチュームのデザインである


別に、デザイン自体は差程迷ってはいない
しかし..
琴花 あなた
(私、絵だけはとてつもなく下手だから、業者に伝わらない気がする)
考え事をしながら歩いていると、
ぐっと肩を捕まれ、後ろへと引き戻された
琴花 あなた
うわっ、
思わず倒れてしまいそうになったけれど、私の肩を掴んだ人が支えてくれて助かった

また、ふと視線を上げてみると、赤色の光る信号が見えた
琴花 あなた
あ、えっと、ありがとうございm..((
琴花 あなた
って、あなたは..
???
あ、覚えてくれてたんだ..
琴花 あなた
うん、確か..耳郎響香さん
耳郎 響香
さ、さんって..
好きなように呼んでよ
琴花 あなた
......響香
琴花 あなた
じゃあ改めて、ありがとう、響香
耳郎 響香
全然いいって
次からは気を付けなよ
琴花 あなた
うん
耳郎 響香
にしても、名前、良く分かったね
琴花 あなた
この前名札を見たから..
その時気付いた、相手の名前を出しておいて、私は名乗ってないな、と

普段なら見知らぬ人に名前は教えたりなどしないけれど、彼女ならいいと思った

だって、響香は雄英生だから、いずれ知ることになるだろうし
琴花 あなた
私、琴花あなた
琴花 あなた
私も好きに呼んでくれていいよ
耳郎 響香
うん、分かった
それで..あなた、あなたは何か考えてたの?
琴花 あなた
あぁ..ちょっと困ってて...
あの、さっき助けて貰ってばっかりで図々しいんだけど..響香、絵は得意?
耳郎 響香
え、どゆこと



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