相手はロボット
手加減をする必要も、あの事も、
何も気にしなくていい
自由に個性を使って、好きに暴れてもいい
大丈夫
全身に酸素を行き渡らせるイメージをすると、深く息を吸う
強ばる体の筋肉を解すように、全てを吐き出す
私はクロユリを咲かせると、言葉を花弁に込めた
そして次の瞬間、一体のロボットが私の方へと進行して来た
しかし..
1歩動いただけのはずだったロボットは、心臓部のネジを外されたかのように崩れていった
この試験はヒーローとしての適正
攻撃力
多くのものを一気に判断するため、仕掛けが大量に施されている
例えば、市民を模した人形が設置されていたり..
たくさん咲かせたブローディアを市民を模した人形の元に1本1本散らせる
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攻撃、市民の守護
それらに用いた用法が、全てあと日に似てた
もう、割り切ってるはずなのに、少し..心の底が重たい感じがする
柄にもなく凄く動揺してしまった
無表情で私を見つめる相澤さんに、私は少し疑問を抱いた
無表情は無表情でも、私を疑うような目で見ていたからだ
私の個性は確かに、応用能力が高い
護りも、攻撃も、支援も
全てを担うことが可能
しかし、殺傷なんかに使う気持ちはさらさらない
だって、誰もそんなことは望まないのでしょう?
もし私が好んでそれを行うのであれば、私はここにいない
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無事編入試験に合格したことを高校側に伝えると、先生は電話向こうで大声を上げていた
思わず耳を電話から遠ざけてしまったが、それほどまでに感情を出してくれるんだと思うと、改めて感謝の気持ちが募った
受話器を置き、私は家の方面へと向かった
これから編入に向けてまだまだすることがあるから、それに取り掛かる
コスチュームのデザインや用具の確認
そこまで難しいことではないけれど、3日も貰っているのだから、丁寧にやっておこうと思った
何を困るのか、それはコスチュームのデザインである
別に、デザイン自体は差程迷ってはいない
しかし..
考え事をしながら歩いていると、
ぐっと肩を捕まれ、後ろへと引き戻された
思わず倒れてしまいそうになったけれど、私の肩を掴んだ人が支えてくれて助かった
また、ふと視線を上げてみると、赤色の光る信号が見えた
その時気付いた、相手の名前を出しておいて、私は名乗ってないな、と
普段なら見知らぬ人に名前は教えたりなどしないけれど、彼女ならいいと思った
だって、響香は雄英生だから、いずれ知ることになるだろうし
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。