「でも、何でカメラには雨澤の姿も声も入るんでしょうね」と、阪部が言った。
「さぁ?それは分からないけど、今、こうして、我々の眼には見えない雨澤君がカメラには映っていて、声も入っているという事は、〝雨澤君が死んで幽霊になった〟というのは、
本当のようだね」
「はい」と阪部が答えた。
「とても残念だよ・・・・・・」
「あ!!!」
「どうしたんですか?」と阪部が聞いた。
「でも、こうやって、雨澤君の姿も声も、カメラに収められるなら、雨澤君は、俳優を続けられるんじゃないのか!?」
「え!?」
「まぁ、共演者達は、姿も見えない、声も聞こえない雨澤君と演技をするのは大変だけど、色々工夫すれば・・・・・・」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。