《エイジside》
''本当に俺はあかねのことが好きなのか?''
そればかりが俺の頭の中を駆け巡る。
手を繋いでいる時
キスをしている時
一夜を共にすごした時
どれも俺には大切な時間だった。
あかねといると楽しかった。
でも
''何か物足りない。''
いつの日からかそう思い始めた。
だから最近はあかねといる時間も増やした。
旅行に行く回数も増やしたし
プレゼントだってあげた。
それなのに俺は満足しなかった。
欲しがり?
俺の心のつっかえそんな単純なものじゃなかった。
今はあかねと顔を合わせるのがなんとなく気まずい。
だから少し出かけてみる。
いつもはなんとも思わない些細なことに反応してしまう。
香水の匂い、
柔軟剤の匂い、
煙草の匂い…
どれもが今は気持ちが悪くてしょうがない。
流れに逆らってとりあえず駅前の方へ行ってみる。
案の定人は少なかったが道幅が狭いため、
気をつけなければ人とぶつかってしまう。
途中で女性のぶつかってしまった。
そう言って俺がぶつかってしまった女性は通り過ぎて行く。
あなた…?
いや、まさかな。
髪だって黒く染めたし気づくはずはない。
なのに何故だか
心底
《気づいてほしかった》
そんな想いが俺にはできてしまっていた。
頭をかきむしりながら歩き始める。
いつからか
''あなたに会いてぇなぁ…''
なんて思い始めていた。
続く 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。