しかし、切島たちの期待を裏切るかのように
緑谷の口からは意外な言葉が発せられた
「え?かっちゃんにそんな癖あったっけ?」
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「しっかし、まさか緑谷が爆豪の癖に気づいてなかったなんてなー」
あの後、結局問題解決にまで至らないまま食堂を後にした三人は教室へと戻るため校舎を歩いていた
「だよなぁ、俺もちょっと意外だった」
階段をトントン、と軽やかに下りながら上鳴が言った言葉に切島も先日、緑谷から言われた言葉を思い出しながら相づちをうつ
───「かっちゃんにそんな癖あるなんて知らなかった」
長年の幼馴染みである緑谷出久は確かにそう切島たちに言った
あの少年が嘘をつくような人間でないのは切島達も十分承知していたし、あの表情からして本当に初めて知ったというような感じだった
だからこそ
「...でもさぁ、ちょっとおかしくないか?何で半年ぐらいしか一緒にいない俺らが気づいて、もう何年も一緒にいる幼馴染みの緑谷が気づかないんだ?」
この事実が切島たちには不思議でたまらなかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!