学校まであと少しの道で里穂に会った。
涼さんといたところを見られてしまった。
私は里穂に家に帰らないときは友達の家にいると言っていたし今回風邪をひいたときも友達の家で看病してもらったと伝えてあった。
たぶん里穂はその友達が男の人、涼さんだということに気づいたみたい。
そういうと里穂は「も〜〜!心配だよ〜〜!」と少し怒っていた。
里穂は優しく微笑んでくれた。
階段を上っているとふと目に入った、そして目が合った。
金髪だった理玖の髪の毛が黒髪になっていた。
着崩していた制服も人並み程度の着崩しになっていた。
なんで?どうして??そんなことを思っているうちにどんどん理玖はわたしに近づいた。
それだけ言って理玖は自分の教室に入っていった。
理玖が私に話しかけてくれた。
そんなの久しぶりすぎて、一瞬泣きそうになった。
うまく言葉を紡げない。
私が風邪をひいて休んでいたことを知っていた。
びっくりしたけど嬉しかった。
もう2度と近づいてもらえないし近づけないと思っていた。
私の知ってる理玖が一瞬見えた気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。