黒髪の理玖のことまだ見慣れない。
私が家にいることにすごく驚いていた。
そう言ってさえちゃんは自室へ行ってしまった。
これって2人きりだよね???
うまく話せるかな、、、???
意外にも最初に言葉を発したのは理玖だった。
意外に話せている自分に驚いた。
だんだんと緊張が解れてきて話しやすくなった。
思わずかっこいいなんて言ってしまった。
理玖に渡されたのはお店の名刺だった。
最寄駅から1駅先の駅ビルの8階、
居酒屋ケンちゃん、そのまんまだ。
なんだか理玖との距離が近づいた気がした。
理玖がわたしの名前をふと呼ぶ、どきどきした。
たぶん彼は私とすみれさんとの関係があまり良くないことを知っている。
何も言い訳できないと思った。
私って隠し事するとき手を握ってしまうんだ。
自分でも気づいていない癖を理玖は気づいてくれた。
怒られているのに少し嬉しいと感じてしまう。
ほんとにどうしようもない。
彼の目を見るとなんでも素直に話してしまう。
小さい頃からずっとそう。
私、前みたいに理玖に近づいてもいいのかな?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。