第19話

私また近づいてもいいのかな?
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2019/10/25 02:46
菅原 理玖
「ただいま、誰かきてんの?って愛花!?」


黒髪の理玖のことまだ見慣れない。

私が家にいることにすごく驚いていた。

西原 愛花
「おじゃましてます」
理玖の母(菅原 さえ)
「ケーキ焼いたから私が無理やり連れてきちゃった!理玖も食べて???私、自分の部屋掃除してくる。」


そう言ってさえちゃんは自室へ行ってしまった。



これって2人きりだよね???

うまく話せるかな、、、???


菅原 理玖
「懐かしい、愛花がうちにいるの。」



意外にも最初に言葉を発したのは理玖だった。



西原 愛花
「うん、あんまり変わらないね。」
菅原 理玖
「そうだな。もう風邪は大丈夫か?」
西原 愛花
「うん、大丈夫だよ。」
菅原 理玖
「家あんま帰ってない?居にくい?」
西原 愛花
「そんなことないよ、この間お父さんにも会ったよ」
菅原 理玖
「相変わらず出張多いんだな。」
西原 愛花
「しょうがないよ。研究員だもん。
今は出張というか単身赴任って感じ!」
菅原 理玖
「そっか。」


意外に話せている自分に驚いた。

だんだんと緊張が解れてきて話しやすくなった。

西原 愛花
「理玖、髪、黒くしたんだね。」
菅原 理玖
「おーう、不良やめたからイメチェン?どう?」
西原 愛花
「見慣れないけど、か、かっこいい。」


思わずかっこいいなんて言ってしまった。


菅原 理玖
「さんきゅ。春樹とバイト一緒なんだってな。」
西原 愛花
「うん、理玖はバイトとかしてるの?」
菅原 理玖
「してるよ。父さんと仲よかったケンちゃんて覚えてる?ケンちゃんがやってる居酒屋でたまにバイトしてる」
西原 愛花
「ケンちゃん懐かしいー、そうなんだ。」
菅原 理玖
「よかったら今度きて。少し遠いけど、これに場所書いてあるから。」


理玖に渡されたのはお店の名刺だった。


最寄駅から1駅先の駅ビルの8階、

居酒屋ケンちゃん、そのまんまだ。


西原 愛花
「ありがとう、今度ともだちと行くね。
わたしのとこにもよかったらきてね。」


なんだか理玖との距離が近づいた気がした。



菅原 理玖
「愛花、」
西原 愛花
「うん?」


理玖がわたしの名前をふと呼ぶ、どきどきした。


菅原 理玖
「ちゃんとご飯食べてる?痩せたよな、?」



たぶん彼は私とすみれさんとの関係があまり良くないことを知っている。

何も言い訳できないと思った。


西原 愛花
「最近はちゃんと食べてるよ。バイト賄いあるから。」
菅原 理玖
「嘘?ちゃんとほんとのこと教えろよ。
隠し事するとき手握る癖、昔から変わんない。」


私って隠し事するとき手を握ってしまうんだ。


自分でも気づいていない癖を理玖は気づいてくれた。


怒られているのに少し嬉しいと感じてしまう。

ほんとにどうしようもない。


彼の目を見るとなんでも素直に話してしまう。

小さい頃からずっとそう。

西原 愛花
「ほんとはあんまり食べれてない。
食べようと思っても食べれなかったりするときがある。少しずつ量を増やしていってって治療してるの。心配かけてごめんね。でもほんとに!良くはなってるから!」
菅原 理玖
「そっか、問い詰めるような聞き方してごめん。
あと、オレずっと愛花のこと避けてた、それもごめん。オレ荒れてたし一緒にいる愛花のこと悪くみられて欲しくなかった。今更近づかれても困るよな。」
西原 愛花
「ううん!私は嬉しいよ。
また理玖と話せるようになって。ありがとう。」


私、前みたいに理玖に近づいてもいいのかな?

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