涼さんのお家に泊まった次の日は学校だったけど休んだ。
土日もずっと涼さんといた。
日曜日、涼さんは車をだすから隣の県の水族館に行こうと言ってくれた。
涼さんに助けてもらってばっかりだし、優しくしてもらってばっかり。
涼さんに隣の県の水族館に連れて行ってもらった。
すごく久しぶりの水族館、小さい頃に理玖の家族に連れてきてもらったぶりの水族館だった。
綺麗で綺麗で、心が落ち着いた。
帰ろうとしたそのときだった、後ろからなんだか懐かしい久しぶりに聞く声がした。
名前を呼ばれて後ろを振り返ると、びっくりして声がでなくなった。
理玖のお兄ちゃん、隼人くんが立っていた。
多分5年ぶりくらいに会う。
そう言いながら隼人くんは涼さんの顔をみた。
私が隼人くんのとなりの女の人をみると会釈された、慌てて私も会釈した。
ほわほわしていて可愛らしい雰囲気の女性。微笑んでくれた。
そういって隼人くんとほのかさんは行ってしまった。
やっぱり涼さんにはペラペラとしゃべってしまう。気をつけなきゃ。
涼さんにお家まで送り届けてもらった。
家に着くとお父さんはあたりまえだけどもういなかった。
家の鍵は閉まっていた。
すみれさんはひなちゃんと買い物にでも出かけたんだと思う。
すみれさんに会わないことに安心してしまっている自分が居た。
そんな自分が嫌だと感じて仕方なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!