第10話

オレって独占欲が強いのかも
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2019/09/26 08:26


それから3日間、愛花のクラスを覗いたけど1度も見かけることはなかった。



学校での溜まり場にしている空き教室からでて帰ろうとしたとき、女子トイレから愛花と仲のいい角田里穂がでてきた。


たまたま目があった。というか目を合わせると、角田は自分の顔を指をさしながら「え、わたし?」と驚いた顔をしていた。


角田 里穂
「え、なんですか、、、?」
菅原 理玖
「オレ、怖くないっしょ?
中学から一緒だろ?」
角田 里穂
「あはは、たしかに。
菅原くんよりも菅原くんの友達のが見た目怖いよね、いや雰囲氣か。どうしたの?
最近ウチのクラスくるけどまなちゃん探してるの?」
菅原 理玖
「愛花知らねえ?愛花と仲良いから角田なら知ってるかなって思って、、、」
角田 里穂
「いやだからってガン飛ばさないでよ、不良にガン飛ばされんの超怖いんだからね???」
菅原 理玖
「睨んだつもりなかったんだけど、、、悪りぃ。」
角田 里穂
「もうね、癖になっちゃってるよ菅原くん。
あのね、まなちゃん風邪ひいたみたい。」
菅原 理玖
「家にいる?」
角田 里穂
「さあ、たぶんいない、かな、、、?
実はね、私、まなちゃんのことあんまり分からないの。
私の知ってるまなちゃんは学校にいるときと一緒にいるときのまなちゃんだけ。
まなちゃん秘密主義なの、普段のこと殆ど話してくれなくて。」
菅原 理玖
「愛花、角田に心開いてると思ってたんだけど…」
角田 里穂
「菅原くんには申し訳ないけど私も菅原くんとおんなじで全然まなちゃんのこと知らないの。
私に心配かけたくないのかもしれない。あと菅原くんにも。ほらまなちゃんの口癖って「大丈夫だよ」でしょ?」
菅原 理玖
「あぁ」


愛花は大切な人には心配をかけたくないと昔言っていたけどたぶん親友である角田に普段のことを話さないでいるのは少し意外だった。


そして家にいないのなら一体どこにいるのか不思議でたまらなかった。


あぁ、オレってまるで愛花のストーカーみたいなことしてんなぁ。

角田 里穂
「最近ちゃんと学校来てるって噂だけど菅原くんって不良やめたの?」
菅原 理玖
「まあ」
角田 里穂
「まなちゃんの為?でしょ?なんで今更?菅原くんまなちゃんのこと避けてたよね?どうして?」
菅原 理玖
「母親が自分の所為でオレがこうなってしまったって兄に弱音を吐いているのを聞いてしまって申し訳ない気持ちになった。
素行不良なオレと愛花が一緒にいて危険な目にあって欲しくなかったし傷ついて欲しくなかった。
悪くみられて欲しくなかった。だから避けた。
でも愛花は久しぶりに会う度に痩せていくし体調が悪そう。
やっぱり新しい母親とうまくいってないのが確信に変わった。今度はオレが助けたい。」
角田 里穂
「そっか、まなちゃんも寂しかったみたい」
菅原 理玖
「え?どういうこと?」
角田 里穂
「ううん、なんでもない。今の忘れて。」


角田は焦ったように話を逸らした。


角田 里穂
「たぶん明日から来ると思うよ」
菅原 理玖
「じゃあまた明日オレも学校に来ようかな」
角田 里穂
「まなちゃんきっとびっくりするよ
そういえば菅原くんのお友達も不良辞めたの?」
菅原 理玖
「あぁ、みんなで辞めた。
オレが辞めるなら辞めるって言ってくれた。」
角田 里穂
「菅原くん、根は真面目だし、優秀だから。
あ、もうこんな時間だ、じゃあね。また明日。」


角田と別れて家に向かった。

そしてオレはどうしても愛花の顔が見たくなって家を訪ねてしまったんだ。

愛花の母(西原 すみれ)
「はーい、あれ、えっと…」


愛花の家から出てきたのは案の定新しい母親だった。

確かすみれさんって言ってたっけな。


菅原 理玖
「オレ、隣の家に住んでる菅原理玖って言います」
愛花の母(西原 すみれ)
「あー、大吾さんから聞いてたわよ。どうしたの?」
菅原 理玖
「愛花さん風邪引いたって聞いて。愛花さんいますか?」



態とらしくオレが聞くとすみれさんは慌てたような顔をしていた。


たぶん愛花が風邪をひいているということを知らない。そんな感じだった。



愛花の母(西原 すみれ)
「理玖くんごめんね、愛花ちゃん今お家にいなくて。友達の家に遊びに行っちゃったのよ。風邪はもう治ったみたいだから心配しなくて大丈夫よ。わざわざありがとうね。」


と完璧な笑顔を見せ言った。


やっぱり愛花は家に帰っていない様子だった。

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