第4話

私はここに居にくい
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2019/09/12 23:07
西原 愛花
「ただいま、」


返事は返って来ないけど家に帰るといつもの癖で呟いてしまう。


リビングに入ると私の足に抱き着いた3歳児。

愛花の妹(西原 ひな)
「ねえね、おかえり!」


私にできた12歳下の妹、ひなちゃん。



中学2年生のとき、父親は職場の女の人、すみれさんと再婚した。


私にはなかったお母さんができた。




最初は嬉しかった、妹ができたことも嬉しかった。


でも、嬉しかったのは初めだけで、ひなちゃんが1歳になるとすみれさんは私に愛情を注がないようになった。


私の存在が邪魔になったみたい。だから私はこの家に居にくくなった。




私のものは洗濯をしないし、私の為にもちろん料理も作らない。


だから、なにもかも自分でやるしかなかった。


すみれさんに家族だと認めてもらえるのは出張ばかりでなかなか家にいることのない父親が帰ってきている日だけだった。



父親にこのことを言えるわけなかった、幸せな父親の気持ちを壊したくないから。




愛花の母(西原 すみれ)
「愛花ちゃん、おかえりなさい。」


すみれさんが私に話しかける日は父親が帰ってくる日だけ。


だから今日は父親が帰ってくる日なんだと分かった。

愛花の母(西原 すみれ)
「今日、お父さん帰ってくるのよ。」
西原 愛花
「そうですか、私、バイトなので夕飯いらないです。
あと、友達の家に泊まるので帰らないです。」
愛花の母(西原 すみれ)
「あらそうなの。」


今、嬉しかったんでしょ?喜んでいたのがわかった。


友達の家になんて泊まらないけどね。



早急に荷物を詰めて、アルバイトに向かった。


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