久しぶりの通学路、
春樹と学校へ向かう途中、突然春樹に愛花の名前を呼ばれた。
春樹の視線の先には愛花と愛花より年上にみえる男がいた。
そいつに愛花は何度も何度もお礼をしていた。
男の方は笑顔で手を振っていた。
春樹のその一言でオレは取られたくないと思ってしまった。
愛花と別れた男の方をみるとどこか切なそうな顔をしていた。
あの男、何者なのか。彼氏?なんとなくそんな気がした。
そりゃ彼氏がいたっておかしくない。
朝からずっとイライラしていた。
愛花が男といたからとかそれとは別の件でイライラしてた。
そう、朝から携帯電話がずっと鳴りっぱなしでうるさい。
春樹たちがオレの鳴り止まない携帯電話をとってそう言った。
向田ユズハはオレの元カノで現セフレ。
鳴り止まないバイブ音、五月蝿いから電話に出た。
そう言われて一方的に電話を切られた。
向田とは中3のとき真夜中の繁華街で出会った。
向田のことは好きじゃないけど付き合った。
彼女とはどんなもんか知りたかったし、思春期だしそりゃ人並みに性欲もある。
高1の春、別れてと言われた。オレは好きではなかったからすんなりと別れ話に承諾した。
でもお互いの欲を満たす為体だけの関係になった。
向田は自分から他に好きな人ができたから別れてと言ってきたのに1ヶ月後にやっぱりオレのことが好きだからまた付き合ってほしいと言ってきた。
オレは付き合わないといった。
メッセージも電話もひっきりなしにきた。
うるさかったしストレスだった。
セフレになろ?と向田は誘ってきた。
もちろん断ったけどしつこく連絡するのをやめると言われた。だからオレはその誘いに乗った。条件付きで。
どちらかがカラダだけの関係が必要じゃなくなったらすっぱり切ること。そして連絡はしないこと。
そう約束した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。