第13話

やっぱりとられたくない
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2019/10/04 23:00
長岡 春樹
「あ、愛花ちゃん。」


久しぶりの通学路、

春樹と学校へ向かう途中、突然春樹に愛花の名前を呼ばれた。


菅原 理玖
「え?」


春樹の視線の先には愛花と愛花より年上にみえる男がいた。


そいつに愛花は何度も何度もお礼をしていた。


男の方は笑顔で手を振っていた。


長岡 春樹
「アレ、愛花ちゃんの彼氏?」


春樹のその一言でオレは取られたくないと思ってしまった。


長岡 春樹
「理玖くーん?ショック〜〜??」
菅原 理玖
「うるせえよ。」


愛花と別れた男の方をみるとどこか切なそうな顔をしていた。


長岡 春樹
「あの男なに者なんだろうな?」
菅原 理玖
「さあ。」


あの男、何者なのか。彼氏?なんとなくそんな気がした。

そりゃ彼氏がいたっておかしくない。


長岡 春樹
「てかさ、理玖くん、勉強教えてよ?」
菅原 理玖
「は?やだ。」
長岡 春樹
「え〜〜!オレバカだし不良だから授業でてなくてテストの内容全くわかんないんだよね〜〜」
菅原 理玖
「オレも授業でてないけどな。」
長岡 春樹
「だって理玖くん地頭がいいから勉強しなくてもできるじゃん〜〜!!」
菅原 理玖
「はあ、陽司と2人でやれ」
斎藤 陽司
「なになにー?呼んだー???」
菅原 理玖
「呼んでねえよ。」
斎藤 陽司
「ええ、理玖くんそんなに怒んなくたっていいじゃん!」


朝からずっとイライラしていた。


愛花が男といたからとかそれとは別の件でイライラしてた。


斎藤 陽司
「てか、理玖くんめっちゃ携帯鳴ってない!?」


そう、朝から携帯電話がずっと鳴りっぱなしでうるさい。


斎藤 陽司
「ええ、ユズハじゃん、全部向田ユズハだよ、」
長岡 春樹
「なに、まだ付き纏われてんの?てか付き合ってんの?」


春樹たちがオレの鳴り止まない携帯電話をとってそう言った。


向田ユズハはオレの元カノで現セフレ。


鳴り止まないバイブ音、五月蝿いから電話に出た。

菅原 理玖
《なに?朝からうるせえよ。》
向田 ユズハ
《ねえ、どういうこと?私との関係やめるって。》
菅原 理玖
《オレら付き合ってないじゃんていうか別れる時に言っただろ。どっちかに必要じゃない時がきたらやめるって。》
向田 ユズハ
《とにかく私はやめないから。
私はまだ理玖くんのこと好きなんだもん。》


そう言われて一方的に電話を切られた。



向田とは中3のとき真夜中の繁華街で出会った。

向田のことは好きじゃないけど付き合った。



彼女とはどんなもんか知りたかったし、思春期だしそりゃ人並みに性欲もある。



高1の春、別れてと言われた。オレは好きではなかったからすんなりと別れ話に承諾した。



でもお互いの欲を満たす為体だけの関係になった。

斎藤 陽司
「え、ユズハと理玖くんまだ繋がってたんだ」
長岡 春樹
「てかセフレっしょ?理玖くんだめだよそれは。」
菅原 理玖
「うるせえよ。
昨日やめようってメッセージ送ったらこれ」
長岡 春樹
「あーあ。重いのに捕まったなあ。」


向田は自分から他に好きな人ができたから別れてと言ってきたのに1ヶ月後にやっぱりオレのことが好きだからまた付き合ってほしいと言ってきた。



オレは付き合わないといった。

メッセージも電話もひっきりなしにきた。

うるさかったしストレスだった。



セフレになろ?と向田は誘ってきた。

もちろん断ったけどしつこく連絡するのをやめると言われた。だからオレはその誘いに乗った。条件付きで。



どちらかがカラダだけの関係が必要じゃなくなったらすっぱり切ること。そして連絡はしないこと。

そう約束した。



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