あの時、何があったのかは、分からない。
でも、確実に有咲がお姉ちゃんの事を殺したんだ。
凛は、最初おかしいと思っていた。
だって、有咲がそんな事をするわけが無いって信じてたから。
信じてたのに……………………
この、物語の真相と結末は、誰にも分からない。
私にも、有咲にも。
唯一知っているのはお姉ちゃん。
でも、お姉ちゃんは、もうこの世に居ない。
悪魔さん、貴方はなんて事を招いたんですか?
私をまた一人ぼっちにして、他の人を正しい道へ導くどころか、不幸へと導いてしかいないじゃないですか。
悪魔さん、何故、私と有咲を引き離したのですか?
ねぇ、なんで………………
また私は、泣き崩れた。
そしてふと、考えたのだ。
ここから落ちれば、有咲と一緒になれるのではないかと。
また、笑い合えるのでは、ないかと。
次の日。
ニュースでは、海から大橋有咲さんと小笠原凛さんの死体が発見された、と大きく話題になっていた。
それを空から笑顔で、二人は見つめていた。
天国ではそれから毎日、彼女達の笑顔で溢れていたという____
私達に微笑んだのは天使ではなく悪魔。
でも、忘れないで。
例え微笑んだのが悪魔だとしても、結末がバッドエンドになるとは限らないから___
-END-
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!