第14話

Thirteen
133
2020/02/18 08:18
深雪side

「行ってきます!」

「いってらっしゃ〜い!」

私はドアを開けて学校に向かった。

十数分して教室に着くと、頭に黒板消しが降ってきた。

「…………………」

周りは、くすくすと私を見て笑っている。
こんなの日常茶飯事。大丈夫、大丈夫、大丈夫…………

机に向かうと、やっぱり何時もの落書きが私を待っていた。

"能面女"

"人間のクズ"

"死ね"

"万引き犯の妹"



ガラッ


「みんなおはよう。ホームルームを始めるぞ〜
……………あれ、小笠原(深雪)、暗い顔してるけど大丈夫か?」

先生、ほんと、生徒の事わかってないよね。

『先生、助けてください。』

なんてこと、言えるわけないじゃん。  

私は笑顔にならなきゃ。
天国のお姉ちゃんに、心配は掛けたくない。
有咲にも。
だって、折角できた"友達"。
有咲、どうか、私の事を探らないで。
有咲があの時カレンダーを触った事は分かってた。
でも、せめて、あの机だけは触らないで。
有咲が壊れちゃう。

だって、言えないよ。

"有咲が私のお姉ちゃんの元親友だって"

だから、有咲が不審がらないように、笑わなきゃ。
学校でも、家でも。

「なんでもないです、先生」

作り物の笑いを浮かべて、みんなに心配が掛からないように笑う。
そして、家に帰ったら、ぬいぐるみでストレス発散をする。
………これでしか、私は正常で居られないから。

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