マサイside
飲み物を買ってベンチの方に戻るとぺけがいなかった
代わりにおじいさんがそこに座っていた
俺はおじいさんが指さした方に向かって歩いた
もうすぐ花火の時間になるからか、人がさっきより増えている
ほんとにあいつはすぐどっかに行っちまう
あの日だって迷子になったのに
早く見つけないと。。。
ぺけたんside
なんだか、頭がクラクラしてきた
気持ち悪くて、しんどい
こんなことになるなら動かなきゃ良かったなぁ
あまりの辛さに涙が溢れてくる
ぺけはほんとに綿飴が好きだな
誰かの声が僕の頭に響いた
花火、すげえ綺麗だな
これは、なに?
なにが起こってるの?
振り返るとマサイくんが息を荒くして立っていた
そう言ってマサイくんは僕に水を差し出してきた
僕はとっさにマサイくんの服の袖を掴んだ
なぜなのかよくわからないけどこんなところで帰りたくないと思った
僕はマサイくんをじっと見つめた
こうやってよくみるとマサイくんの目ってすごく綺麗なんだなぁ
するとマサイくんは、周りの人とは別方向に足を向けた
そう言ってマサイくんは僕の手を繋いで歩き出した
少し恥ずかしかったけど、マサイくんの大きくて温かい手から安心感が伝わってきた
人の波に押されて手が離れそうになる
マサイくんは咄嗟に指を絡めて僕の手を繋ぎ、自分の方向に抱き寄せた
なんだか、この前の電車の時みたいでまたドキドキしてきた
愛してる
しばらくしてから神社を出て、すぐ近くの森を抜けた丘のようなところに着いた
そしてお互い無言になってしまった
どうしよう、想いを伝えようかな
でもそんなことをして、マサイくんが困ったらどうしよう
嫌われたら。。。
マサイくんは僕を見て笑った
でも目には涙が溜まっていて今にも泣きそうで。。。
すると夜空に大きな花が咲いた
マサイは小さく、でもはっきりとそう言った
その言葉を聞いた時、僕の真っ白になっていた頭に様々な思い出が色づいたのだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。