「エーリスちゃーん!御願いだよ!此のドレスを着ておくれ!」
「リンタロウしつこい!」
バンッ!
「首領!大変です!」
「何だい?」
「中原さんが!」
「中也君が如何したの?」
「戦った別の組織に…」
『捕まった…』
部下の後ろには,二人で支え合いながら此方に歩いてくる太宰君とあなたちゃん
「太宰君⁉︎」
「あなた⁉︎」
「大丈夫かい⁉︎」
「僕もう死にそう…」
「気をしっかり持っておくれ!其処の君,今すぐ紅葉君に知らせてくれ!紅葉君なら直ぐに動いてくれるはずだ!」
「はっ!」
「太宰君の方が外傷は多い…エリスちゃん,太宰君を先に運ぶからあなたちゃんを見ておいてくれるかい?」
「勿論よ」
「あなた…」
『………っ』
「!」
『…』
「あなた!あなた!私の声が聞こえる?」
『…エ…リス…嬢…』
「そうよ。良かったわ…今リンタロウがダザイを見て居るからもう少し待っててね」
『…』
「大丈夫よ,私が居るわ」
『…は,い…』
「…苦しいかもしれないけど……何が有ったか,話せるかしら?」
『…っ,_____』
・
・
・
「…」
「外傷だけで判断してはいけなかったなぁ…」
「如何して?」
「あなたちゃん,内臓筋の足の部分が殆どやられてる」
「あなた…」
「太宰君を,良く此処まで支えたものだ」
「………リンタロウ,あなたから聞いた話よ。」
今日三人は,外来種の生物を大量のヨコハマに流出させて居る組織の解体
と云う任務を受けていた。
攻撃はチューヤ,策案はダザイ,補助があなただったらしいの。
いつもと変わらない筈だった。
けど,相手の人間の中にプランには書いていなかった異能力者が居たそうなの。
「…秘密構成員か。」
「其の可能性は高いわね…」
30分くらい戦ったらしいわ。
でも相手もかなりの実力で,手こずった
奴はあなたに手を伸ばして捕まえようとした。
其れをチューヤは阻止した
自分を身代わりに…
「今,部下に其の組織について調べて貰って居る。」
「判ったら,チューヤを助けに行くのよね?」
「厭,先ずは此の二人が起きてからだよ」
「…」
「太宰君もあなたちゃんも…ちゃんと中也君を救いたいだろうし,我々だけで行ったら,特にあなたちゃんは怒るだろうしね」
「そうね。」
「…ん…」
「「!」」
「太宰君,判るかい⁉︎」
「…も,り…さん…」
「そうだよ,私だ。良かった…」
「いつもの自殺未遂じゃ無いから,尚更心配だったわ」
「エリス…嬢…」
「まだ安静にして居なさいね?」
「……あなたちゃん…は?」
「あなたちゃんは,隣だよ」
リンタロウがそう云うと,ダザイはゆっくり横を向く。
そして,涙を流した。
「…っ…」
「太宰君…?」
「森さん…僕のせいなんだ…中也が身代わりになったのも…あなたちゃんがこんなにも傷付いたのも…」
「如何云う事だい?」
「相手に秘密構成員が居るんじゃないかって…何回か思った…其れも考えのうちに入れておいた…でも,其の力の予想までして居なかった…其処まで要らないと思って…」
「あなたは,自分の代わりにチューヤが身代わりになったって云ってたけど…?」
「森さん…エリス嬢…矢っ張り僕無理かも知れない…」
「「…?」」
「あなたちゃんに最初に会った時…本気で此の手で彼女を守ってあげたいと思った…。其の為に生きようともした…でも,いつもなんだ…僕より中也の方があなたちゃんを助けてる…」
「…」
「守ってる…!」
シャー!
「こら御主,何じゃ其の引き腰は?」
「紅葉君?」
「鴎外殿,中也の居場所は判ったぞ。」
「流石だね,紅葉君」
「…太宰,聞いて居るのじゃ,答えろ」
「…」
「あなたの幸せを,彼奴にとっての幸福を,あなたに捧げてやると云ったのは御主じゃろうが!」
「…そうだね…」
「ならば,最後まで責任を持て!痴者でか弱いあなたを幸せに出来るのは…御主しか居らぬのじゃ!」
「……僕じゃ,一生あなたちゃんを守れない」
「貴様に其の気があっても!あなたは絶対に御主を放さぬぞ!」
「!…」
「中也もきっと…同じ事を申す…!」
「……判った,チャンスを頂戴?…彼女にちゃんと伝える」
「…簡単に,終わらせるで無いぞ…」
「守れる」
そう思ってた。
でも,無理だった。
チャンスを欲しいと云ったけど,きっと僕には無理だ。
でも,あなたちゃんに
「自分を信じて欲しい」
そう云ったのは僕だ。
其の責任は重い
何故そんな事を云ってしまったんだろう…。
後悔はしなかったが,疑問を感じた
すると判った
「どうか,してたんだよ…きっと…。」
僕は,どうかしてたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。