第66話

*°♡ 66
5,605
2020/11/27 14:31
朝練後、信ちゃんと喧嘩したことを反省しながら歩いていると、女の子が肩にぶつかってきた。
彼女
彼女
痛っ…
花子
花子
ってぇな、謝れや
彼女
彼女
なんやねん、ぶつかってきたんそっちやろ
花子
花子
ナメてんじゃねぇぞ
彼女
彼女
別にナメとらんわ
花子
花子
あんた、北先輩の彼女やろ?
彼女
彼女
なんでそないなこと答えなあかんねん
花子
花子
その態度、あんたが悪いんやからね
彼女
彼女
何言うて―――
私は首にスタンガンを当てられ、ふっと意識を手放した。
なんでスタンガンなんて物騒なもの持ち歩いとんねん。
そして、次に目が覚めた時、今はもう使われていない方の体育倉庫にいた。
彼女
彼女
なんやこれ…
どんだけキツく縛ったん…
手足はロープのようなもので縛られ、身動きが一切できない。
口にはガムテープを貼られとるし、大声を出して助けを呼ぶこともできん。
おまけに、今日はほんの少し冷え込んどるし最悪の条件が重なったって訳だ。
彼女
彼女
んーー!!!!
誰かに気づいてもらいたくてとりあえず声を出したものの、聞こえてきたのはドアの外にいたあの人の声だった。
花子
花子
はははっ、必死になって馬鹿みたい
彼女
彼女
んー!!
花子
花子
あんたがどんだけ叫んでも、助けは来ないよ
私はとにかく抵抗したくて、縛られた足を動かしてドアを叩いた。
だけど、しっかり施錠されているドアは開くはずもなく、あの人はもう既に立ち去ったあとだった。
こんなことになるなら、あの時信ちゃんと喧嘩なんかしなければ良かった。
私がいなくなったことに、気がついてくれるかな。
怖い、寒い、泣きたい、助けて。
私は心の中でただひたすら信ちゃんのことを想っていた。

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