それから数日後、完全復活した私は信ちゃんと一緒に体育館に向かっていた。
信ちゃんの隣歩くの久しぶりやな
せやなぁ、3日間寝込んどったからな
寝すぎて身体中痛いわ
ほんなら今夜、運動しよか?
信ちゃん、今日のロードワーク1人だけ2倍にするで
ほんの冗談や、冗談
信ちゃんって冗談言うんやな
信ちゃんが冗談とか、何年も一緒におるけど数えられるほどしか聞いたことないな。
うちには結構優しいけど部活では厳しいみたいやし、信ちゃんってほんまけじめついとる。
北さん、おはようございます!
おはようさん
おはようございます
おはようさん、相変わらず仲ええな
そんなことないです!
息ぴったりやん笑
先輩、治ったんですか?
おん、もう元気やで
北さんめっちゃ落ち込んでましたよ
寂しかったんやから、仕方ないやろ
信ちゃん可愛ええなぁ!
デレてる先輩可愛い…
練習始まるで、はよ着替えるんよ
信ちゃんの言葉に大きな声で返事をした双子と、それにかき消されるくらい小さな声で返事をしたすなりんは更衣室へと向かって行った。
ドリンク、お願いするで
はいよ、任しとき!
今日は監督の機嫌悪いし、厳しい部活になりそうやな
信ちゃん、ちょっと笑っとるの怖いで
笑ってへんよ
口ではそう言っとったけど、悪そうな笑顔浮かべとったな。
監督が機嫌悪いのに加えて信ちゃんまで怒らしたら、今日は死者が出るかもしれん。
誰も信ちゃんのことを怒らせないように願いつつ、私はドリンクの準備を進めた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!