信ちゃんが心配してくれるのは嬉しいけど、このデザイン可愛くて気に入ったんやもん。
値段も手頃やし、買うしかないやろ。
なんとかして信ちゃんを説得しないと。
信ちゃんの反対を押し切り、私は気に入ったバスパンを購入した。
これは、信ちゃん相当イライラしとるな。
態度に出したり当たり散らしたりはせんけど、空気感でイライラしとるのがわかる。
けど、今回ばかりは私も自分からは謝らない。
いつもなら隣に並んで、手を繋いで色んな話をしながら帰るのに少しだけ遠い距離。
私よりもずっと大きな背中を見つめ、私はふと寂しくなる。
信ちゃんは私が謝ったらきっと許してくれる。
もう気にせんでいいよ、俺も悪かったし、って言ってくれる。
だけど、それじゃあダメなんよ。
よく分からない自分の気持ちに戸惑いながら、私は信ちゃんの後を静かに追った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした！<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。