第70話

*°♡ 70
5,579
2020/11/30 15:06
なんか、ふわふわする。
頭がぼーっとして、だけど心地良い感じ。
そういえば私、体育倉庫に監禁されてたんだっけ。
ここがどこか知らないけど、早く信ちゃんに会ってぎゅってしてほしいな。
北 信介
北 信介
かんにんな…
はよ目覚ましてや…
この声…もしかして信ちゃん…?
右手から伝わる温もりは間違いなく信ちゃんの温もりで、私はゆっくりと目を覚ました。
彼女
彼女
しん、ちゃん…
北 信介
北 信介
目、覚めたんか…!?
彼女
彼女
隣におってくれて、ありがとさん…
北 信介
北 信介
何言うてんのや…
辛い目に遭わしてかんにんな…
彼女
彼女
謝ることや、ないよ…
北 信介
北 信介
グスッ…グスッ…目覚めて良かった…
普段滅多に泣かない信ちゃんが、私のために涙を流してくれとる。
目覚めてよかった、って言ってくれる人がいる。
それがこんなにも嬉しいことだって教えてくれたのは、紛れもなく信ちゃんだよ。
北 信介
北 信介
俺、なんて謝ったらええ?
どうやって、償ったらええ?
彼女
彼女
そんなことせんでも大丈夫
傍にいてくれるだけで、支えやから
北 信介
北 信介
せやけどっ…俺は…
彼女
彼女
私のこと見つけてくれてありがとさん
そう言って信ちゃんのことをそっと抱き寄せると、声を上げて泣き始めた。
こんなにもうちのこと待っててくれる人は、今もこれから先も信ちゃんだけやな。
北 信介
北 信介
苦しくないか…?
咳出んか…?
彼女
彼女
おん、だいぶ落ち着いたで
やから、安心してええよ
北 信介
北 信介
そか…なら良かった…
彼女
彼女
傍におってくれてありがとさん
信ちゃん、愛しとるよ
北 信介
北 信介
俺も、お前のこと世界一愛しとる
ゆっくりと重なった唇は、お互いの涙でほんの少しだけしょっぱかった。

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