第7話

テスト(爆豪side)
1,199
2020/05/19 08:32
※テストのときの爆豪くん目線のお話です
時間軸がズレていますがご了承ください。


爆豪side

朝から変なモブ女を無駄に助けちまったし

しかもそいつと同じクラスだし面倒くせぇこと

になりやがった。別に俺はどうでもいいけどな。




個性把握テストっちゅーのは

自分の個性フルパワーで使っていいのか。

ってことは余裕だな。俺なら楽勝だわ。

完膚なきまでの1位をとってやんよ。




担任に呼ばれクラスの前でソフトボール投げの手本。

かったりぃが見せしめにはなるだろうと思った。

そんじゃ………

死ねぇ!!!!!!!!

思いっきり吹っ飛ばす。記録は705.2m。

中学とは比べもんになんねぇ。

これだったら……いける!!



そっから他の種目一通りやったが

自分でも納得のいく結果だった。

俺以上がいるのか……??

ヒーロー科全国トップの雄英高校。

中には猛者がいるかもしれねぇ。

一応注意して見とくか。


たまたま近くでソフトボール投げをやってた。

まぁ試しに見てみっか……。

次投げるやつは……あ?あのモブ女かよ。

さぁて……どんな個性を使ってくる?

見る限り放出系の個性では無さそうだ。

それじゃあなんだ?風を使う個性か……?

……チッ 俺が見ても分かんねぇとは

ずいぶんと大層な個性だ。

相当上に上り詰めてくんな……。





授業の最後の結果発表。

俺は3位か…チッ……他にも上がいんのかよ。

で……肝心のモブ女は……あ???

7位だぁ??あんな個性持っておいて??

別に認めたわけじゃねぇがあのレベルの個性

だったらもっと上にくい込めただろが。

やっぱ下手くそなクソ雑魚だったか。

自分の個性もまともに使えねぇのかよ。


授業が終わり教室に向かう。

俺の前にはアホ面で歩くモブ女。

何でそんなにふらふら歩いてんだよ。

頭お花畑なんか?それともただの馬鹿か。

さらに前を歩く女集団に向かって声をかけている。

女ってのはなんで集団行動が好きなのかねぇ。

アイツが前に駆け出そうとした瞬間。



爆豪 「っ!!!!!」


……またかよっ!!!

今朝と同じ光景。またコケそうに……!!

なんでか知らねぇが勝手に足が動いていた。



間一髪でセーフ。

なんとか転倒は避けられた。

……仕方ねぇからな、こんな格好。

別に好きでやってるわけじゃねぇ。

肩に手を回し自分の身体に引き寄せるように

した体勢。恋人のようにも見える。


爆豪 「おいテメェ…なにまたコケようとしてんだよ」

パッと上を向き見つめてくるコイツ。

けっ……アホ面しやがって。

俺を前にしたコイツは少し怯えているように見えた。

……まぁ今朝のことがあるからな。

人から怖がられるなんていつものことだわ。

あなた 「あっ…えっと」
爆豪 「ほら、さっさと1人で歩け。」




何オドオドしてんだよ。いちいちムカつく…。
俺から離れたコイツは女共のもとに向かった。
……はずだった。


爆豪 「っ!!!!?」



急に頭を抱えその場にしゃがみ込む。

なんだよ体調悪ぃのかよ。
爆豪 「オイ!!何してんだよ!!」
苦しそうな顔は変わらない。

痛みで声すら聴こえてないみたいだ。
そのまま横に流れるように身体が倒れた。
爆豪 「クソっめんどくせぇ…!!」
周りにいたクラスメイトの連中が駆け寄ってきた。

誰が連れて行くか決めている。

緑谷 「かっちゃん、僕が……」
爆豪 「あ゛?」
爆豪 「テメェが連れてくくらいなら俺が行くわ」


それが数分前の出来事。

デクのせいで変な意地はっちまった……。

近くにいた俺が行かなきゃおかしいだろが。


倒れた状態のこいつを背中にやるのは

無理があった。仕方ねぇ、緊急だからな…。

周りにいた男どもから謎の歓声が上がる。


爆豪 「そういうんじゃねぇわ!!!」


1度牽制してから保健室に向かった。

肩と膝の部分を抱える。いわゆるアレだ…

お姫様抱っことか言われてるやつだ……。


コイツはまだ辛そうな顔をしている。

なんだよテストで無理でもしたんかよ。

コイツが下手くそなことに変わりはねぇ。

自分の個性くらいまともに扱えや……。


あなた 「……っ!!」
爆豪 「あ?なんか言ったか?」
あなた 「…っ行か、ない……で……」
1粒の大きな涙がコイツの頬をつたう。
爆豪 「悪夢でも見てんのかよ……」
あなた 「…いやっ……」


保健室に着いたはいいが

肝心なリカバリーガールがいない。

職員室にでも行ってるんだろうか。


とりあえずベッドに寝かせる。

まだコイツは夢にうなされているみたいだった。

俺はなんもしてやれねぇんだよ。

叩き起こすわけにもいかない。

かと言って俺は治せる個性なんざもってない。




あなた 「…た す……け、て。」


爆豪 「…………泣くなよ。」



そっと右頬に手を触れる。

伝う涙を親指で拭う。

なんもしてやれねぇのにヒーローか。

……ホントコイツといると調子狂うな。



あなた 「…ば…く、ご……くん」
爆豪 「……はっ」
あなた 「スースー…」
爆豪 「やっと眠れたかよ。」



ンだよ。

勝手に夢ん中で名前呼ぶなよ。

俺はなんもしてやれねぇんだよ。



その後はリカバリーガールが来た。

もう俺は用無しだ。

テキトーに授業に戻るとだけ告げて出た。

HRが終わると何故か俺んとこに

くそモブどもがアイツの荷物持ってけとか

散々うるさかった。……黙れよ。

俺が行ったところでアイツビビらすだけだろ。





たまたま近くにいた半分野郎に

荷物持ってけ。とだけ告げて俺は帰宅した。

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