第2話

嫌悪
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2020/05/04 01:54
あなた 「あっ…ありがとうござい…「、チッ」


助けてくれた相手にお礼をしようとしたのだが

それは盛大な舌打ちによってかき消された。


??? 「どこ見てんだよ 危ねぇだろが!!」
あなた 「(え、なんで私怒られてるの…)」
あなた 「っ……すいません」
??? 「…チッ、気ぃつけろや、」



本日二回目の舌打ち。

そう言い残すとその人はさっさと行ってしまった。

なぜこの人はこんなにカリカリしてるんだろう。

とりあえずクラス同じじゃないことを願う。

あなた 「えっと…私のクラスは…」

ようやくクラス表の前にたどり着く。

ヒーロー科は2クラスだから見つけやすい。

A組かB組だ。しかも1クラス20人程だ。


あなた 「あっ……たぁ」


ようやく実感させられる。

私はあの雄英高校に入ったということを。

私のクラスは1年A組だった。


あなた 「(試験のときに友だち作っておけば良かった)」


1人で教室に向かうのが辛い。

私の中学校からの雄英進学者は唯一私だけだ。

知り合いなんて誰もいない。

頑張って友だち作りをせねば……。

あなた 「わっ大きいドア…」

私の身長の倍はあるんじゃないだろうか。

1ーAと縦に分かりやすく示された扉。

この先にたくさんのヒーローの卵が……。


!!
前を歩いているのは試験のときに

0ポイントの仮想ヴィランを倒していた

あの男の子じゃないか。

あなた 「あっ!待って!!」
??? 「ぅわっごめんなさい!」
あなた 「ふぅ…ギリセーフ!!」

その男の子が教室に入ろうとした瞬間に

無理やり引き止めたのは私なのに

なぜか謝ってきた。気が弱いんだろうか。

あなた 「はぁ…間に合ったぁぁ!!」

一緒に教室に入ると……

私は目に入ってきた光景に唖然としてしまった。

とても真面目そうなメガネ男子に注意を受けている

その人は……。
あなた 「あああああああっ!!」
つい指を差して叫んでしまった。

まさか同じクラスになるなんて……。

そこにいたのは私を助けてくれた人だ。

2回も舌打ちされたが。

その人は私に気づくとこちらに視線を向けた。

??? 「ア゛?」
あなた 「まさか同じクラスだったなんて…」
??? 「ンだよ、さっきのモブ女か」
あなた 「モブっ……!?」
??? 「てめぇなんざモブ女で充分だわ。」


なっ……。

本当に失礼極まりない。

いくら面識があったとはいえ初対面に

ここまで悪口を言ってくるとは……。

するとさっきそいつを注意していた

真面目そうな男の子が私のほうへ向かってきた。


飯田 「知り合いなのか?俺は飯田天哉だ!
よろしく!!……っとキミは??」
あなた 「百合野(ゆりの)あなたです!
よろしく飯田くん!」

飯田くんは私と一緒に入ってきた

入試のときの男の子にも声をかけた。

飯田 「俺は私立聡明中学の……」
緑谷 「聞いてたよ!あ…っと僕緑谷。
よろしく飯田くん…… 」

なにやら入試のときの話をしている。

飯田くんも同じ会場にいたんだ……。

さっきの舌打ちしてくる怖い人は

ずっと緑谷くんを睨んでる。知り合いだろうか。

すると後ろから教室に入ってくる人の声が。


??? 「あ!そのモサモサ頭は!!」


茶髪のボブで目がくりくりの女の子。

緑谷くんの知り合い……??

緑谷くんはドギマギしながら話している。

同じ中学とかではないらしい。

あれ、この子どこかで……、

??? 「あっ試験会場にいたよね?!」
あなた 「へっ!?」
麗日 「私麗日お茶子!!よろしくね!」
あなた 「私はっ百合野あなたです!!」


どこかで見覚えがあると思えば……

そうだ、緑谷くんが助けていた女の子だ。

麗日 「今日って式とかガイダンスだけかな?
先生ってどんな人だろうね、緊張する
よね!!」

緑谷くん真っ赤……。

女の子の耐性ないんだろうなぁ。

そんな他愛もない話をしていたそのとき……

??? 「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。」



どこからが聞こえてきた声に

ふと後ろを振り向くと……
あなた 「きゃあぁぁっ!」

廊下で寝袋に入って横たわっている人がいた。

髪は長めでいかにも悪そうに見える。

目付きがとにかくすごい。(色んな意味で)

誰だろうこの人…ここの関係者かな?

寝袋をとり、すくっと立ち上がると


??? 「はい静かになるまで8秒かかりました。
時間は有限。君たちは合理性に欠くね。」

先生……!?ということはプロのヒーローだ。


相澤 「担任の相澤消太だ。よろしくね。」
あなた 「たっ担任……!?」
相澤 「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ。」


急にそんなことを言われるなんて……。

渋々私たちは体操服に着替えた。

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