第5話

お出迎え
1,286
2020/05/04 11:14
次の日

昨日の頭痛が嘘のように回復していた。

もうなんの心配もいらない。

いつものようにお母さんに声をかけ

玄関を開けると_____________________





あなた 「んえっ!?轟くん!?」
轟 「百合野おはよう。」
あなた 「あっ…おはよう…ってなんで!!」
轟 「昨日送った身だし、もし体調悪かったら
また何かあると思って。心配で迎えに来た。」
あなた 「そっそんな…申し訳ない!!」
轟 「別に何も気にしてないから大丈夫。」
あなた 「でっでも……」
轟 「俺が好きでやってるから」




ボンッ




ああ、多分私今顔真っ赤だ。

轟くんは素直にそう言っただけなのに。

これだからイケメンはずるいんだ。


母 「ちょっとあなた?!忘れ物…って」



玄関から飛び出してきた母は私と轟くんを

一目見ると急に動きを止め、固まった。

そりゃあ朝からこんな美少年に会ったら

びっくりするわな。



轟 「どうも、あなたさんと同じクラスの
轟と言います。昨日のことがあって
心配だったので迎えに来ました。」
母 「…どうも〜あなたの母です!!
わざわざ朝からごめんなさいね〜
娘と仲良くしてやってくださ〜い」




ぞわっとするくらい甲高い声。

さっきの場面は無かったことにしたようだ。

いつも見る母の姿はない。


……っていうか今サラッと名前呼びした!?




轟 「それじゃあ…そろそろ学校に行きます。
行こうあなた。」
母 「がんばってねぇ!!」



母は私に忘れたペンポーチを渡すと

小声で耳打ちしてきた。



母 「なによ〜こんなカッコイイ彼氏がいて
なんですぐ紹介してくれなかったのよっ」
あなた 「んなっ!?違うから!!!」
母 「うふふっ期待してるわねっ」
あなた 「だから違うってば……」


母は聞く耳を持とうとしない。











母 「いってらっしゃ〜い!!」



そのまま母に満面の笑みで送り出され

我が家をあとにした。






あなた 「轟くんごめんね……
朝からお母さんうるさくて…」
轟 「? 全然気にならない。むしろ元気が
あっていいと思う。」
あなた 「!!そんな気使ってくれてありがとう」
轟 「俺は…今母さんいないから。」
あなた 「……えっ」
轟 「ふっ…そんな深刻そうな顔しないでくれ。
遠い場所に住んでるだけだ。」
あなた 「そっそうなの……?ごめんね」
轟 「あなたは心配しなくていい。」
あなた 「!!!!!!」
轟 「どうかしたか?」


なっ名前呼び……健在。

あなた 「いやっその……無理して
名前呼びしなくていいよっ」
あなた 「さっきはお母さんの前だったから
そう呼んでくれたかもしれないけど」
轟 「っ!!!!わりぃ……」


えっ……轟くん…照れてる?

耳が真っ赤……。

なんかすごい意外だなあ……。


轟 「……んじゃダメか?」
あなた 「へっ?」
轟 「…名前で 、呼んじゃダメ…?」
あなた 「(んなぁっ……!!!)」


何だこのかわいい生物は……!!!

まるで子犬のような……!!!


あなた 「いっ、いいけど……」
轟 「わかった。あなた。」

ニコッてしただとぉぉぉお!?!?
イケメンの破壊力…恐るべし。

轟 「じゃあ俺のことも名前で呼んで。」
あなた 「えっ!!それはなんて言うか、。」
轟 「……できない?」
あなた 「(ああもう!可愛い!!)」
あなた 「き、、緊張するなぁ…」


一呼吸置いてから……
あなた 「しょ…焦凍……くん?」

恥ずかしい……!!普段下の名前で呼んだり

しないから全然慣れない……!!

って……あれ?


あなた 「どっどうしたの??」



焦凍くんは頭を抱えて俯いている。

そのせいで顔が全く見えない。






轟 「わりぃ…なんでもない。」






気のせいかな…なんか赤いような、





轟 「ほら、もう校門はすぐそこだ。行こう。」
あなた 「うん……!!」






私たちは隣を歩いて校門をくぐった。

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