第13話

本当は
899
2020/05/20 08:36
次の日は体調はすっかり良くなったのに

気分はすこぶる悪い。ブレスレットの件も

あってほとんど寝ることが出来なかった。


母 「ちょっとあなた?なにボーッとしてんの、」
あなた 「ふぁぁああ…ちょっと眠くて。」
母 「はやく食べちゃいなさいよ?」
あなた 「んー、」


母にブレスレットの件を伝えることは出来なかった。

悲しい顔をさせてしまうと分かっていたから。


母 「じゃあ行ってらっしゃい。気をつけるのよ。」
あなた 「大丈夫だって、過保護だなぁ。」

わざわざお母さんは玄関まで見送ってくれる。

お姉ちゃんのことがあってから

以前より私を気にかけることが多くなった。

それもあるのだ。だけど今は_____________

母 「あらぁ!!轟くん!!!」
轟 「おはようございます。」

門のところに焦凍くんが立っていた。

昨日も迎えに来てくれたが

今日もわざわざ来てくれたらしい。

ほんと、レディーファースト精神がすごい。

母 「今日もわざわざありがとうね、あ!!これ食べて!!お腹空くと思うから!!」
あなた 「ちょ、お母さん何して……!」
母 「成長期の男の子はお腹空くのよ〜?しかもヒーロー科なんだし余計よねぇ??」


お母さんが取り出したのはお手製のおにぎり。

しかも可愛いうさぎ柄のアルミホイルに

包まれている。お母さんは私なんかより

焦凍くん目当てらしい。イケメンだもんね。

だからってこんなの恥ずかしい……。

轟 「ありがとうございます。学校で食べます。」
あなた 「ちょっと?!焦凍くん無理しなくていいからね??」
轟 「無理なんかしてねぇ。人から貰ったもん粗末にするほうがよっぽど失礼だ。」
あなた 「(心までイケメンか……!!)」
母 「やだぁもう!!轟くんは育ちがいいのねぇ!!」
轟 「いえ、当たり前のことですから」
あなた 「(なんだこの完璧超人は……!!)」
轟 「では失礼します。あなた行こう。」
母 「はーい!!行ってらっしゃ〜い!!」


母の言葉の語尾に♡がついているように

聞こえるのは気のせいだろうか。

つくづくイケメンには目がない人だ。

お父さんはそうでも無いと思うけど……。


しばらく歩いていると

焦凍くんのほうから話題を振ってきた。

轟 「ホントにいい母さんだな。」
あなた 「そんな…朝からごめん。あの人テンション高いんだ、焦凍くんの前だと。」
轟 「俺はあなたも明るいと思うぞ。」
あなた 「ええっ!?」
轟 「女子といるときとか、なんか、楽しそうだ。」
あなた 「〜っ!!そう、かな?でも友だちといるときはすっごく楽しいよ!!」



良かった。自然に顔に出てるんだ。

私顔が引きつってる、って言われがちだからなあ。
轟 「それならよかった。」
あなた 「焦凍くんは…仲良い友だち出来た?」
轟 「…友だち、か。よく分かんねぇ。」
あなた 「でも学校始まったばっかりだし!これからだよね!!」
轟 「ふっ…そうだな」
あなた 「…………」
轟 「、どうした??」


しばらく考え込む。
あなた 「私、焦凍くんといるとき笑顔でいることが多いかもしれない。」
轟 「そう…だな?、」
あなた 「すごいね焦凍くん!!人を笑顔にする能力があるんだねぇ。私も見習おっと。」
轟 「〜っ!!!!!!」
あなた 「えっ、どしたの?」


また焦凍くんが顔を逸らし手で覆う。
轟 「……ほんと無自覚やめて。」
あなた 「えっ、何?聴こえなかった。」
轟 「いや、なんでもない。ほら、行くぞ。」


もう目の前には雄英の校門が見えた。

視界に入ってきたのはそれだけじゃない。

私はその人に向かって走り出す。

あなた 「あっ!爆豪くん!!!」
爆豪 「あ゛!?…んだよテメェかよ。」
轟 「爆豪か。おはよう。」
爆豪 「チッ…なんで半分野郎がいんだよ」
轟 「なんでって…あなたと一緒に登校してるからだが?」
爆豪 「……はぁ?」
あなた 「昨日から焦凍くんと登校してるんだ。」
爆豪 「……知るか、テメェのことなんざ」




スタスタと先に行ってしまう。


あなた 「あっ……ちょっと待っ……」
轟 「いいよあなた。ゆっくり行こう。」
あなた 「そうだね、ごめんね、」
轟 「爆豪のこと…気にしてんのか?」
あなた 「えっ、そういうわけじゃないけど…」
轟 「なら、そんな関わんねぇほうがいい。あいつは誰かれ構わず凶暴だからな。」
あなた 「……えっ」


確かに爆豪くんは怖い。

だけど怖いだけじゃない。

ホントは優しい人だってことを知ってる。

いつも助けてくれる。私にとってヒーローみたいな人だ。

勘違いされることが多いのかもしれないけど。





あなた 「しょ、焦凍くん!!!」
轟 「?なんだ……あなた、」
あなた 「…爆豪くんは、怖い人じゃないよ」