「もしも此の小説にコメディ要素がなかったら」
武装探偵社一の問題児で有り、横浜最強の不良「あなた」
彼女は今、武装探偵社の(仮)社員として此処に置いている
「はぁ〜、…」と長いため息を付き、机とまた向かい合う。
両手に収まるほどの書類を持ち上げ、机に軽くトントンと音を鳴らせながら紙を整える
其う呟いた瞬間、
突然、探偵社の扉が開いた
否、壊れた。
扉は壁から泣き別れになっており、もう直し用が無い
そして、壊れた部分から煙が立っている。
扉を壊した主は、…
橙色の髪の上に黒帽子を被らせたお洒落な見た目
其して其の人の瞳を見れば、ベキリーブルー・ガーネットの様な蒼い瞳をしていた
何時ぞやかの資料で見たことがある。
「重力使いの中原中也」
ポートマフィアの幹部の一人だとか
…確かに、弱そうには見えない、
…身長は、…気にしないでおこう、…
そう言えば、…最強の異能力者を貰いに来たって言ってたな、…
…最強の異能力者何て家の探偵社にいたっけ、…?
…嗚呼、敦の事であろうか、…?
彼奴、七十億の懸賞金掛けられているらしいし、…
可能性的には、あり得る
どうせ私には関係無いと思ったので、
彼奴らを無視して机に目を向け、再び書類の整理を始めた
…ん?
ヒョイッ、
急に足が床から離れたと思えば、
私は中原中也に横抱き、…所謂、「姫抱き」と言うものをされていた
あまりにも吃驚し過ぎて、変な声が口から零れた
私がっ、…最強異能力者っ、…!?
太宰が私の手首を掴もうとしたか、いち早くも其れを察した中原中也は、
重力で私ごと浮かせ、窓を割った
多分、窓から脱出しようとしているのだろう。
中原中也が其う言った途端、私でも分かるほどの殺気が太宰に向けられていた
…マフィアにまで、其の呼び名は広まっていたのか、…
…何故こうなった、…
私の目の前には、ポートマフィアの長であろうお方と、
其の長が肘を預けている机にに落書きをする紅いドレスを着た金髪が非常に似合う少女
そして、先程私を誘拐した中原中也
…はぁ、…逃げ出せねぇ、…
異能を使っても良いが、…
…敵の情報が集められる機会かもしれない、…
…此処は大人しくしてよう、
するとポートマフィアの長は
外套の内側に来ているシャツの胸元のポケットから、メスを取り出し
ストッ、…と静かな音を立てながら、メスを机に浅く刺した
やばいって、…余裕そうだけどそんな事ないからっ…
今だって、…手の震えが止まらないしっ、…
汗も、震えも、恐怖も、…
止まらない、
…誰かの掌が背中に触れたと思えば、
震えた私の身体をさすってくれている中原中也の姿があった
…なんだ、…意外と優しいんじゃん、…
其の名前を口にすると、暫く沈黙が続いた
すると、ククッ、…という悪人のような笑い声が耳に入った
…何故太宰の名前をっ…!?
ん…、?でも太宰が此の人の名前を知っているのも、…
…可笑しい、…?
私も頭の上には、いくつかの「?」が浮かんでいる
「嗚呼〜、…」と後ろから少し呆れた声が聞こえた
そうなのっ、…!?
否、何で教えてくれなかったの彼奴っ、…!
何呑気に笑ってっ、…💢
こちとらポートマフィアに誘拐されてr((((((((
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。