私の声を合図に先輩は振り返る。
私は昔のように呼び捨てで名前を呼ぶ。
私が1つ年上とか気にしていない時期。
直哉に出会った。
彼はずっと1人だった、私はそれが可哀想でよく遊んでいた。
そこに彼のお兄ちゃんもご一緒だった。
その言葉に思わず私は手を上げてしまっていた。
パチンッ…
嫌な音が廊下に響く。直哉はゆっくりこちらを見た。
先輩が疑心暗鬼になる気持ちは分かっている。かつての私だってそうだったから。
分かってるのに、感情に任せて私は直哉をぶった。
その上怒鳴り、泣き散らかしている。
直哉は驚いたように目を見開いた。
泣き崩れた私は直哉に抱きつく、直哉も優しく手を回してくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!