ガラッ
沈黙を続けていた私たちは同時に音のする方を見た。
部室の扉の前に直哉先輩が驚いた顔で立っていた。
あります。めちゃくちゃありました。
私が爆弾発言をしました。
でも、別に特別な意味はなかったのだが…
そう言うと桝田先輩は部室から出ていってしまった。
私はどうしたらいいのか分からずに直哉先輩を見た
直哉先輩はガガっと折りたたみ椅子を広げて座った。
そしてもうひとつ椅子を広げて私も座るように施した
私は全てを話した。
調子乗って言ってしまった言葉も。
直哉先輩は私の話を聞き終えると俯いた。
私は何もわからない。分からないから知っている先輩に答えを聞くことしか出来なかった。
直哉先輩は一度私を見て、また俯いた。
先輩の口はパクパクしている。
話すべきか話さないべきか悩んでいるのが分かる。
私がそう言うと決心付いたように先輩は顔をあげた。
いつにない真面目な表情だった。
そう言うと直哉先輩は立ち上がった。
スタスタと大股で歩く先輩の後ろをついて行った。
重たい扉を開けると少し曇った空が広がっている屋上へと辿り着いた
そこには桝田先輩が居た。
泣いていたらしい桝田先輩はビックリしたように私と直哉先輩を交互に見た。
そう言って桝田先輩はそっぽを向いた。
私は短い腕を伸ばすイメージで桝田先輩の心に触れようとする。
それをのけることなく桝田先輩は引き受けてくれた。
そう言うと直哉先輩は大きな深呼吸をした。
私も、息を呑んだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。