第11話

🏹 episode 11 ❤
129
2018/06/17 03:37
ガラッ
沈黙を続けていた私たちは同時に音のする方を見た。
部室の扉の前に直哉先輩が驚いた顔で立っていた。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
なんだ、お前らなんかあったのか?
あります。めちゃくちゃありました。
私が爆弾発言をしました。
でも、別に特別な意味はなかったのだが…
桝田 彰良(マスダアキラ)
あぁ。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
彰良、なんでお前れいらを睨んでたんだ?お前があんな目をするの初めて見た。
桝田 彰良(マスダアキラ)
いや、別に。あ、お前がこいつに構ってあげればいいだけの話だ。
そう言うと桝田先輩は部室から出ていってしまった。
私はどうしたらいいのか分からずに直哉先輩を見た
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
何があったのか教えてくれるか?
直哉先輩はガガっと折りたたみ椅子を広げて座った。
そしてもうひとつ椅子を広げて私も座るように施した
私は全てを話した。
調子乗って言ってしまった言葉も。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
…なるほどね
直哉先輩は私の話を聞き終えると俯いた。
赤松 れいら(アカマツレイラ)
なにがいけなかったの?
私は何もわからない。分からないから知っている先輩に答えを聞くことしか出来なかった。
直哉先輩は一度私を見て、また俯いた。
先輩の口はパクパクしている。
話すべきか話さないべきか悩んでいるのが分かる。
赤松 れいら(アカマツレイラ)
絶対に秘密にしておきますから。
私がそう言うと決心付いたように先輩は顔をあげた。
いつにない真面目な表情だった。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
分かった。話す。
でも、場所を変えた方が良さそうだ。
そう言うと直哉先輩は立ち上がった。
スタスタと大股で歩く先輩の後ろをついて行った。
重たい扉を開けると少し曇った空が広がっている屋上へと辿り着いた
そこには桝田先輩が居た。
桝田 彰良(マスダアキラ)
あっ
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
彰良、こいつに話す。いいか?
泣いていたらしい桝田先輩はビックリしたように私と直哉先輩を交互に見た。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
絶対に秘密にすると約束したから。
桝田 彰良(マスダアキラ)
…つらくなるだけだ。聞いて得するやつなんて誰もいない。
そう言って桝田先輩はそっぽを向いた。
赤松 れいら(アカマツレイラ)
それでもいいんです!聞かせてください。
私は短い腕を伸ばすイメージで桝田先輩の心に触れようとする。
それをのけることなく桝田先輩は引き受けてくれた。
桝田 彰良(マスダアキラ)
分かった。いいよ。
驫木 直哉(トドロキナオヤ)
ありがとう彰良
そう言うと直哉先輩は大きな深呼吸をした。
私も、息を呑んだ

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