第10話

友達
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2018/07/28 22:59
織原
織原
…そうだったんだ
織原は、私の話を最後まで気を抜かずに聞いてくれた。
琉瑠果
琉瑠果
…私が気付いていたら、榊田のお父さんが死ぬことなんてなかったのに…
織原
織原
…今香月がそうやって反省してることが、榊田のお父さんへの罪の償いになると思うよ
榊田
榊田
甘いね
琉瑠果
琉瑠果
…っ、榊田…
榊田
榊田
人を殺したことには変わりないんだから、しっかり反省して貰わないとなぁ
織原
織原
…何する気だ!
榊田
榊田
それはまだ言えないな
今日の放課後、屋上に来い
あ、織原も一緒でもいいよ~
琉瑠果
琉瑠果
…分かった、行くよ
榊田のこと友達だと思ってるから
榊田
榊田
織原
織原
香月…
琉瑠果
琉瑠果
織原は安心して
織原
織原
…俺も行く
琉瑠果
琉瑠果
…うん
そして、放課後、呼び出された屋上へ来た。
榊田
榊田
…ちゃんと来たね、えらいえらい
織原
織原
…何する気だ
榊田
榊田
…もちろんお約束通り、香月に死んで貰うよ
琉瑠果
琉瑠果
…っ!
榊田
榊田
じゃあね、香月
織原にはちょっとでも邪魔したらすぐ刺すからって言ってあるし
榊田が、手に持っていたナイフを振り下ろした。
私は、とっさに目をつぶった。
琉瑠果
琉瑠果
あれ?刺さった感覚どころか、当たった感覚もしない。

目を開けると、榊田が…泣いていた。
琉瑠果
琉瑠果
…さ、かき、だ…?
榊田
榊田
…やっぱり無理だよ、俺には
榊田が途切れ途切れに話し始めた。
榊田
榊田
…っ、父さんにとって人殺しでも…俺にとっては…大切な奴なんだ
榊田
榊田
…だから、殺せねーよ…『友達』って言われたから
琉瑠果
琉瑠果
…榊田…
榊田
榊田
…父さんの仇を討つって決めてたのに…無理だ
織原
織原
…香月を殺そうとしたのは、お前自身の意志なのか?
榊田
榊田
…分からない…気付いたらこんな歪んだ感情に襲われて…
琉瑠果
琉瑠果
…榊田
私は、榊田の返事を待たずに、言葉を続けた。
琉瑠果
琉瑠果
…お父さんを死なせてしまって、ごめんね
榊田
榊田
…父さん、こいつと…このダメな俺を許してくれ…
榊田が泣き崩れた。






翌日、学校に行くと、榊田に謝られた。
榊田
榊田
昨日はまじでごめん、情緒不安定でさ
琉瑠果
琉瑠果
…うん、榊田がどれだけお父さんのことを大切に思ってるか、よく分かったから
榊田
榊田
…女子の前で泣くとか、カッコ悪すぎる
おそらく、昨日のことはもうふっ切れたのだろう。
琉瑠果
琉瑠果
…『大切な奴』って言ってくれて、ありがとう
榊田
榊田
まあ本当のことですから
榎木
榎木
香月さん!
琉瑠果
琉瑠果
あ、榎木さん
榎木
榎木
今、いいですか?
琉瑠果
琉瑠果
?うん
榊田
榊田
じゃあな、香月
琉瑠果
琉瑠果
じゃあね
榎木さんが私を、榊田に聞こえないところまで連れてきた。
榎木
榎木
榊田くんとはどうなった?
琉瑠果
琉瑠果
もう大丈夫だよ、心配してくれてありがとう
榎木
榎木
いえいえ…殺されなくて良かった
琉瑠果
琉瑠果
…榎木さんも知ってるの?
榎木
榎木
…えっと、織原くんから相談を受けていたので
琉瑠果
琉瑠果
そうなんだ
まあとにかく、榊田と前みたいな関係に戻れて良かった。

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